Distance -YF-

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Y


一緒に買い物に行った時に太輔が買ってくれたレザーのブレス

いつまでも俺が持ってるのもなって思って太輔に返そうと仕事後に呼び出した。

出来るだけなんでもない風を装って返そうと思ったのになかなか受け取ってもらえない事に徐々に苛立ちがつのってきた。
痺れを切らして自虐的な言葉を並べたらパシッと頬を叩かれた。


ハァ？

なんで？



「オレがっ…オレが、どんな気持ちでわたに抱かれてたと思ってんの？」

「はぁ？何言ってんの？お前からけしかけて来たことじゃん。なんで俺が殴られなきゃいけねぇんだよ！」


反射的に言い返しながらちらっと太輔を盗み見ると溢れる涙を堪えるように唇を噛み締めていた。

あの時もそうだったけどなんで太輔が被害者ヅラしてんの？

「あーもう面倒くせぇな…ちゃんと返そうと思った俺がバカだったわ」

苛立ちをぶつけるように受け取って貰えなかったブレスを近くにあったゴミ箱に投げつける。


チッ入んねぇし

どこまでカッコ悪りぃんだ俺


拾い直すのもダセェしな…


捨てるのを諦めて太輔の方へと向き直った。
太輔の表情を見るのが怖くて視線を逸らして一気に捲し立てた。

「お前さ、自分の事しか考えてないの？そりゃ誘いに乗った俺もバカだったけどさ。本命と上手くいった途端お払い箱とかさぁどんだけ俺の事バカにしてんの？」

「本、命…？」

「何とぼけてんの？最低だよ…もう冗談でも親友とか言うな」



こんな事言いたくなかったのに

笑顔で背中押してやるんじゃなかったのかよ


自分の情けなさに嫌気がさす

叩かれた頬より胸が痛い。


「わ…た…っ待って！ちがっ…」


引き止める消え入りそうな声に気付かないフリをして背を向けてその場を後にした。




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