クソガキ【ワールドトリガー】 (ページ25)

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クソガキ 23 ページ25

一週間後

無事に退院し、私は基地に戻る

訳ではなく、病棟を引き返していた。

一応言っとくけど、忘れ物を取りに行く訳では無い。

ｺﾝｺﾝ

軽くノックすると、｢どうぞ｣と女の人の声が帰ってくる。

「失礼します………あ…あの…あなたは…？」

「初めまして、三雲修の母の三雲香澄です。」

お母さん？え、若くね？美人すぎね？

「あ、えっと、紫苑あやめです。」

「ボーダー隊員？」

「はい。」

えー、すっごい美人なんだけど…えー…

「………せっかく来てくれたところで悪いんだけど、まだ目が覚めていないのよ…」

「………そう…なんですか…」

私は三雲の方に歩み寄る。

三雲はピクリとも動かず、静かに眠っていた。

どうして…この子を見てると…慧が浮かぶの…？

棺桶で眠る弟とベッドに寝ている三雲が重なってしまった。

嗚呼、似てるんだ。この子は。慧に…似てる…

母親似の繊細な顔立ちをしている三雲を見て、何故か弟を思い出す理由を悟ってしまった。

「ごめんな…守れなくて…」

三雲の頭を静かに撫でる。当然返事なんてない。

この懺悔は誰に向けてだろうか。

三雲？それとも慧？

胸が張り裂けそうなほど痛い。耐えきれなくて涙が零れる。

「………大丈夫？」

三雲のお母さんが私の背中を撫で、椅子に座るように促した。

「すみません…」

「いいのよ。」

三雲のお母さんは多くは語らなかった。私の隣に座って、私のすすり泣く声を静かに聞いていた。

「………似てるんです…」

「……え？」

「この子…4年半前の侵攻で死んだ私の弟に似てるんです…」

三雲のお母さんは目を瞬かせた。