クソガキ【ワールドトリガー】 (ページ23)

今日:9 hit、昨日:8 hit、合計:39,834 hit

クソガキ 21 ページ23

「大したことないわよ。そんな顔しないで。」

これで何回目だろうか、この言葉を慶にかけるのは

結局軽い怪我で済んだけど一応入院することになってしまった。でも、身体は起こせるし、ちょっとだけ痛むけど全然平気だ。

「………自分の身体大事にしてよ…ほんとに心配だよ…」

慶は浮かない顔でため息をつく。

「…………ご…ごめん…悪かったよ…」

ほんとに心配してくれてるのがひしひしと伝わってくるので、思わず私も弱気にならざるを得ない。

「…………あやめさんだけの身体じゃないんだよ…」

「…………ん？」

何言ってんだこいつ。私の身体は私のものでしょ？

「………だ…だから………俺の女だっていう自覚持てってこと!!」

慶は顔を真っ赤にしながら怒鳴るように言った。

「…………慶…」

申し訳ないことしたなっていう気持ちが一瞬で冷めるのが分かった。

まったく、可愛いヤツめ。

私は慶の腕を引き、頭を撫でた。

「な…なに…？」

「可愛いヤツめ…」

私の呟きを聞いて慶は私から離れ、不服そうな顔をした。

「男に可愛いは禁句だよ？」

「そうなの？」

慶はベッドに座り直すと

「男はみんなオオカミだからな」ﾆﾔﾘ

私の顎をくいっと持ち上げた。

「……………………」

「……………真顔やめてくれる？こっちが恥ずかしくなってくるから。」

いや、だって…他にどんな顔しろと？

私が反論する前に口を塞がれてしまった。

じんわりと何かが満たされていくこの感じは悪くない。唇の角度を変える度に慶の甘い吐息が頬を撫でる。

唇が触れるだけなのにこんなに気分が高まるのは、多分慶のキスが上手すぎるせい。

「ん……」

今、舌を絡めたらきっと止まらないだろう。慶なりの気遣いを感じて心が温まる。

「………あやめさん…」

「なに？」

唇が離れ、労わるように名を呼ばれる。

「好きだ。」

「…………私も…」

嗚呼、なんて幸せなんだろう。

今まで味わった中で一番暖かく、心地よい気分だ。

「…………慶…好きだよ…」

もうクソガキだとか言えないや。