Episode058 ページ9
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あの頃は、特に悩みもなかった。
というより深く物事を考えていなかっただけかもしれないけれど、このくらいの歳の子供ならみんなだいたいそうだと思う。
「A!グラウンド行こ!」
「え〜〜、外あついよ?」
私は活発に外で遊ぶタイプではなかったけれど、中に引きこもるタイプでもなかった。この頃から中途半端だった。
「ダメダメ!明日雨なんだから遊べるうちに遊んどかなきゃ!」
渋る私をよそに、そいつは腕を引っぱってくる。そっか、明日は雨……か。
「分かった分かった、痛いから放して奈那」
赤橋奈那、それが私の小学生のときの親友の名前だった。
「奈那ってさ、雨嫌いだよね」
いつも一緒に下校していた。家が近くて。
「当たり前でしょ!外で遊べなくなるんだから」
親友は、世に言う体育会系。スポーツ万能でいつも私を外に連れ出そうとしてくる奴で。短い髪がよく跳ねている元気な子だった。仲良くなったきっかけは、単純に席順。あかはし、と、あさくら……は出席番号が前後だったので、最初の席も前後だった。それで奈那が話しかけてきて、気付いたら親友になっていて。親友は三年生のときに転校してきた転校生だった。
「はは、雨の日元気ないもんね」
「……服も濡れちゃうし、嫌じゃん」
親友は、たまに遠くを見ることがあった。いつもの性格はそれはそれは明るいくせに、
『私はないかな、将来の夢とかそういうの』
『ずっと、とか無いのに、何でみんなそんなこも言うんだろ』
『あー……前の学校は、そんなに友達居なかったんだよね』
『雨降ったら、なんか暗い気分になるんだ』
などと、時折寂しそうな目をしたり、いつもより低い声で何か呟いたり。そんなことがあった。特に雨の日は。
「傘持ってくるのは面倒くさい〜」
「Aって面倒くさがりだよね」
そんなことは分かっていても、当時は深く考えていなかった。だから本人に問うことも探ることもせず、ただ楽しい日々を過ごしていた。まさか突然失くなってしまうものだとは思わずに。
「じゃあ、また明日ね」
「うん、ばいばい奈那」
それが失くなったときに、真っ先に浮かんだそいつの顔は、
『ずっと、なんて無いのに、何でみんなそんなこと言うんだろ』
諦めたようにそう呟く、切なそうな顔だった。
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亜桜(プロフ) - 深未さん» つけてないですよ〜! (2019年12月18日 8時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
深未 - 夢主ちゃんバックワームつけてないの?笑 (2019年12月18日 0時) (レス) id: cdb3fa391f (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 霧月さん» そんなに嬉しいお言葉を頂けてうれしいです(T^T)続編更新致しましたのでそちらもよろしくお願いします! (2018年10月8日 12時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
霧月(プロフ) - とても面白いです!!夢主ちゃんの性格も大好きです!!更新楽しみにしてます(≧∇≦*)大変だと思いますが、頑張ってください! (2018年10月8日 0時) (レス) id: 77a041f6c8 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - R.Oさん» ありがとうございます(T ^ T)がんばります!! (2018年8月22日 16時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜桜 | 作成日時:2018年6月15日 17時