Episode057 ページ8
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「ん……」
うっすら目を開けて、カーテンから差し込む光にもう朝になったのだと悟る。
「うーわまじで床で寝たのか私」
あのまま太刀川さんの家に泊まって、夜中まで騒いでいた。気が付いたら寝てたのだ。太刀川さんはソファーに横になって寝ていて、柚宇さんは床に座って、背の低いテーブルに突っ伏したまま寝ている。
「っ、わっ」
ごろんと寝返りを打つと、そこに出水の背中があって、思っていたより近くて驚いた。私こいつと仲良く並んで寝ていたのか?
11 : 30
スマホの画面をつけて時間を確認すると、それはその時間を示していた。朝じゃなくて昼だったか。変な姿勢で寝たためか、体が痛い。
「んー……」
出水の背中がそう唸って、ごろんとこっちに寝返りを打ってくる。おかげで突然目の前に出水の寝顔が現れた。びっくりして目を見開くが、そいつはなかなか起きる気配がない。
あ、いや、近い。
「………なに、ねがおにみとれてた?」
「なわけあるか、おはよ弾バカ」
ぱちっとここで出水が目を覚まして、上半身を起き上がらせながら目をこする。「だれがたまばかだ」と寝ぼけながら言った。
「んあー……太刀川さんたちやべーな全然起きねーじゃん」
伸びをして、あたりを見渡す出水が言う。確かに太刀川さんも柚宇さんも起きる気配は全くなかった。
「これがA級部隊だよ、威厳のかけらも無い」
「ゆるいからなウチの隊」
まあA級部隊と言ってもなりたてホヤホヤでまだほぼB級部隊みたいなものだけれど。
「……でも、A級上がったからって浮かれてちゃダメだよね」
私は出水の隣に寝転んだままそう言う。出水の座高分高いところから出水は私を見下ろして、「そうだな」と呟いた。
「遠征、行くんだもんね」
太刀川さんは遠征に興味があるらしい。隊の方針としてはまずA級に上がること、これはB級の時から決めていたことだ。A級になった今、次の目標は”遠征部隊に選ばれること”。
「上位いかねーと選ばれねーからな」
A級上位となるとさらにハードルは上がる。絶対に簡単には上がれないし、これから挫折も沢山あるだろう。だけど足を止めるわけにはいかない。遠征に行けば、あいつに、親友のあいつにまた会えるかもしれないのだから。
「絶対、行く」
もし連れ去られて苦しんでいるのなら、私が助ける。もちろん会える確率なんてとても低いけれど、それでも可能性があるならやるしかない。また、あの日々が返ってくるのなら。
「そうだな」
出水はまた優しくそう呟いた。
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亜桜(プロフ) - 深未さん» つけてないですよ〜! (2019年12月18日 8時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
深未 - 夢主ちゃんバックワームつけてないの?笑 (2019年12月18日 0時) (レス) id: cdb3fa391f (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 霧月さん» そんなに嬉しいお言葉を頂けてうれしいです(T^T)続編更新致しましたのでそちらもよろしくお願いします! (2018年10月8日 12時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
霧月(プロフ) - とても面白いです!!夢主ちゃんの性格も大好きです!!更新楽しみにしてます(≧∇≦*)大変だと思いますが、頑張ってください! (2018年10月8日 0時) (レス) id: 77a041f6c8 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - R.Oさん» ありがとうございます(T ^ T)がんばります!! (2018年8月22日 16時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜桜 | 作成日時:2018年6月15日 17時