モノクロノイズ。２【ワートリ】

Episode056 ページ7

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カチャ、ともう入り慣れたそのドアを開け、両手に持った袋を床に置く。そしてそれをキッチンに持って行く。


「太刀川隊Ａ級昇格おめでと〜〜！」
「乾杯ー」
「「いぇーい」」


今日は太刀川さんの家に四人で集まって、Ａ級昇格の祝賀会。柚宇さんがコップを持ち上げながら第一声を発し、続いて太刀川さんの合図で私と出水も声を上げた。


「あと亜桜ちゃんも、遅くなったけど万能手認定おめでと〜！」
「ありがとうございます！」


私はランク戦中に無事にメテオラで六千ポイントを貯めて、万能手になったのだ。認定というかまあ定義を満たしたから正式な万能手になれたという話で。


「でもそうめんってちょっと時期早くない？」
「夏先取りっすね」


まだ五月末なのに。でも作るのが簡単だし、たくさん作れるしという理由でこれを食べることになった。


「てか太刀川さん中間どうだったのかね？」
「赤点四つに抑えた」
「お〜〜やるねえ」
「全然やれてねーっすよ」


祝賀会が遅くなったのは、私達みんな中間テストがあったからだ。柚宇さんの質問に太刀川さんが答えて、ぱちぱち拍手をしながら言った柚宇さんの言葉に、出水がツッコミを入れる。


「仮進級も二個でしょ？太刀川さんやばくない？」
「いや逆に二個しかないのが奇跡だ」


太刀川さんがそう返してきて、高校生になったら米屋もこうなるんだろうなとなんとなく感じた。


「中学生は何もしなくても進級できていいよな」
「太刀川さんだってそうだったでしょうがよ」
「私も英語が赤点だったんだよねー」
「柚宇さんまで？」
「A、お前だって高校だったら赤点の点数取ってるだろ」


赤点という制度が中学生の私にはまだよく分からないが、太刀川さんや柚宇さんの学校では四○点を下回ると欠点と呼ばれるらしい。私は太刀川さんに指摘されて、ぐ、と口籠った。


「何だっけ、三○点だったやつ」
「……数学」
「お前は出水と違って馬鹿だからな」
「はあ！出水も馬鹿ですけど！」
「いやそこかよ！」


私は得意不得意が激しく、文系のため理数系の点数が著しく低い。代わりに文系科目ではそれらの倍以上の点数を取っているのだが、総合点が高くないので高成績者とは呼ばれない。


「てか祝賀会になんで成績の話ばっかしてんの！はしゃぎましょうよ！」
「そだねゲームしよっか」
「国近俺はパスな」
「えー太刀川さんノリ悪いっすよ」


結局この後太刀川さんもゲームに付き合わされて、柚宇さんだけでなく私や出水にもボロ負けしたのであった。

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