Episode055 ページ6
Aside
ドサッ、
「うーわやらかしただるい」
私は一人で目の前の光景に頭を掻いた。
今日は普通に学校で、生徒会の仕事で資料を進路指導室に運んでいた。でも階段でつまづいて、私自身は転ばなかったものの資料をバラ撒いてしまったわけだ。はあ、と溜息をついて、それを拾いはじめる。
「……亜桜先輩?何やってんすか?」
「っえ、京介!?」
階段の前の廊下を歩いて行く人達の中で、一人だけ足を止めて私の名を呼んだ人がいた。それはまさかのあの烏丸京介で、私は目をぱちくりさせた。
「うそウチの中学だったの?」
「言ってませんでしたっけ」
京介と初めて会ったあの頃から約一ヶ月弱が経過し、私達は初夏を感じる五月末を迎えていた。まさか京介がウチに入学していたとは……知らなかった。
「基地で会うときいつもトリオン体だし、気付かないっての」
「ハハ、すんません」
ウチの学校は、学年ごとに使っている校舎も下足場も違うので、部活や委員会が同じでない限りは他学年にはそんなに会わない。今日はたまたま一年生の校舎の進路指導室に向かったから、京介に会ったのだ。こんな仕組みのおかげで、去年も全然学校で迅さんに会わなかったし……そのまま卒業してしまって、残念だ。
「拾うの手伝いますよ」
「あ、ごめんありがと」
京介は私が落とした資料を手際よく拾って、それを重ねて自分で持ちながら立ち上がると「どこ持ってくんすか?」と尋ねてくる。いいよと断ったものの、運ぶから早く教えろと急かされてしまった。
「……進路指導、一年の教室の奥」
「了解っす。……あ、先輩」
京介は、最初に会った頃より少し慣れた感じで敬語を使っていた。ボーダーで年上と関わることも多くなっただろうし、学校の影響もあるんだろうか。隣に並ぶと、ギリギリまだ私のほうが背が高かった。
「A級昇格おめでとうございます」
いつも無表情な京介が優しく笑った。
「ありがと」
京介の言うとおり、私達太刀川隊は見事A級に昇格した。四月までのランク戦でB級一位になって、シーズン中に太刀川さんの仮進級があるかないかなど色々あったが、無事に昇格した。
「てか京介もB級昇格したよね。早いじゃん」
「ありがとうございます」
京介は、既に正隊員になっていた。仮入隊していたためその間に稼いだポイントがあったこともあるだろうが、単純に彼に才能があるのだろう。
「またランク戦する?」
「いいですね、お願いします」
そして進路指導室に到着して、どさっと京介が机に資料を置いた。
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亜桜(プロフ) - 深未さん» つけてないですよ〜! (2019年12月18日 8時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
深未 - 夢主ちゃんバックワームつけてないの?笑 (2019年12月18日 0時) (レス) id: cdb3fa391f (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 霧月さん» そんなに嬉しいお言葉を頂けてうれしいです(T^T)続編更新致しましたのでそちらもよろしくお願いします! (2018年10月8日 12時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
霧月(プロフ) - とても面白いです!!夢主ちゃんの性格も大好きです!!更新楽しみにしてます(≧∇≦*)大変だと思いますが、頑張ってください! (2018年10月8日 0時) (レス) id: 77a041f6c8 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - R.Oさん» ありがとうございます(T ^ T)がんばります!! (2018年8月22日 16時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜桜 | 作成日時:2018年6月15日 17時