Episode097 ページ48
太刀川side
「もう迅、おまえが俺の隊に入れ」
「いやいや、おれS級だし」
ラウンジで、俺は迅に詰め寄っていた。正面に座る迅は苦笑いでその言葉をかわす。
「でも俺も出水もAも十分強いだろ。こっから上に行くのが難しくなってくるぐらいにはな」
「自分でそれ言う……」
自負できるほど、太刀川隊のメンバーが個人として成熟していることは事実で、更に上に行くのが今までよりも難しいレベルまで到達している。それを打破する方法としては色々あるだろうが、一番単純に考えれば、強い人間が仲間になれば隊は強くなるだろう。だがもちろん現実はそこまで単純ではなく、強い人間を加えてもチームワークが崩れれば返って実力は下がる。それぐらい、ボーダーはシビアだ。
「あれ、太刀川さん迅さん」
「A。一人か?」
「さっきまで京介とランク戦してたんですけどね」
「?お前がたまに絡んでる後輩か?」
「そーそ」
偶然通りかかったAが、俺の問に答えながら断りもなく迅の隣に座る。俺は正面になったそいつの顔を見ながら、そのキョウスケという後輩を頭に思い浮かべた。確か、黒い髪の男だった気がする。出水からも何度か話を訊いたことがあるな。俺自身はあまり会ったことはないが……見かけたことくらいは何度かあるような気がする。
「ふーん。結果は?」
「勝ちましたよ」
「内訳は?」
「あー、今日は6ー4……」
「え?Aちゃんが?」
それを訊いて、俺は興味を持った。B級相手に四本も取られるとは、最近のAにしては珍しい事態だったからだ。まあ米屋なんかとやったときはたまにあるみたいだが。というか米屋はチームを組んでいないからB級にいるというだけで、実力は十分A級クラスだ。
「……へえ」
「なに、太刀川さんボコろうとしてる?」
「お〜〜、面白いことになりそうだな」
「迅さん?何かみえてます?」
その時、迅は確かに予知したのだと思う。
「よし、ログ見に行くぞ」
「え、個人戦の?」
「いいねー、おれも行こうかな」
俺が言って歩き出すと、どうやら迅も来るらしく、立ち上がってあとからこちらに歩いてきた。Aはピーピー何か言っているが、どうせ付いてくるので無視してしまおう。
.
「おー……」
迅が、家をブッ壊して相手の足場と視界を奪ってとどめを刺したAの姿を見ながら、そう一音発した。俺たちよりも少し下がった場所から、Aも同じログを見ている。
「Aちゃんて豪快だよねー」
「負けてないのに見られるのやだな……」
そのログが、俺たちに変化をもたらす起爆となる。
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亜桜(プロフ) - 深未さん» つけてないですよ〜! (2019年12月18日 8時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
深未 - 夢主ちゃんバックワームつけてないの?笑 (2019年12月18日 0時) (レス) id: cdb3fa391f (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 霧月さん» そんなに嬉しいお言葉を頂けてうれしいです(T^T)続編更新致しましたのでそちらもよろしくお願いします! (2018年10月8日 12時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
霧月(プロフ) - とても面白いです!!夢主ちゃんの性格も大好きです!!更新楽しみにしてます(≧∇≦*)大変だと思いますが、頑張ってください! (2018年10月8日 0時) (レス) id: 77a041f6c8 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - R.Oさん» ありがとうございます(T ^ T)がんばります!! (2018年8月22日 16時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜桜 | 作成日時:2018年6月15日 17時