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Episode088 ページ39

影浦side



界堺防衛機関ボーダー。ここなら強い奴が多くて、俺のことを怖がる奴も少ないのではないか。入隊したあとから、そう思い始めた。しかし、そんなことはなかった。どこの誰とも知らない奴らが、勝手に噂や見た目で俺を判断して、それをチクチクと刺してくる。学校と何も変わらない。


「ほらよ」
「ありがとうございます〜〜!」


でもこの女は、少し違うらしい。俺がダンボールを隊室まで運ぶと、そいつはにこっと満面の笑みを浮かべて喜んだ。嬉しいという感情にウソはないが、大げさにリアクションしていることは肌で感じてわかった。


ドサッとダンボールを机に置く。


すると壁にかかったパーカーが視線に入って、目を丸くした。エンブレムがある。すなわちA級だ。通りで訊いたことある名前だったわけだ。


「お前中学生?」
「そうですよー、二年です」


着ている制服が隣の中学のものだったので、中学生だと分かった。年下だ。こいつにはもう自分の隊があって、しかもそれはA級部隊で。俺より長くボーダーとして、戦ってきているのか。


「年下かよ」
「影浦さんは三年生ですか?」
「ああ」


じゃあ影浦先輩ですね、とそいつは笑う。俺にはどうしていちいち笑うのかが分からなかった。どうして俺が怖くないのかも分からないし、初めて会った奴にこんなに好意的な態度をわざわざ作っている理由も分からない。


「おい、」


分からなくて、俺は声を発した。


「いちいち態度作っても、クソ能力のせいで全部バレてるからな」
「は、」
「意味ねーんだよ」


どうしてそんな風に、俺に接することができるのか。訊きたかったのはそれだった。しかし言葉が浮かばず、結局その女の作られた態度について指摘してしまった。


「能力って……サイドエフェクト?」
「悪いかよ」
「え、心が読める的な!?」


さっきまでとは随分違った話し方で、そいつは俺を見上げてきた。「そこまでじゃねぇよ」と俺は言い返す。


「他人の感情の種類が分かるくらいのクソ不便な能力だ」
「えー、なんかそれ病みそう」


そいつから、同情を感じた。ボーダーに入る前はサイドエフェクトを認知している人間がいなかったので、誰も信じなかったのに。ここでは、珍しいことではないのだと分かった。


「嫌われてたら分かるんですよね、うわーそれ最悪だ」
「別に慣れた」


俺は淡々と言葉を返す。そう言うとその女は少し悲しそうな顔をする。なんだよ、その顔。


「その慣れは全然いいことじゃないですよ」


そいつは真剣な顔をして俺を見上げた。どういう意味だ、と素直に分からない。

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亜桜(プロフ) - 深未さん» つけてないですよ〜! (2019年12月18日 8時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
深未 - 夢主ちゃんバックワームつけてないの?笑 (2019年12月18日 0時) (レス) id: cdb3fa391f (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 霧月さん» そんなに嬉しいお言葉を頂けてうれしいです(T^T)続編更新致しましたのでそちらもよろしくお願いします! (2018年10月8日 12時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
霧月(プロフ) - とても面白いです!!夢主ちゃんの性格も大好きです!!更新楽しみにしてます(≧∇≦*)大変だと思いますが、頑張ってください! (2018年10月8日 0時) (レス) id: 77a041f6c8 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - R.Oさん» ありがとうございます(T ^ T)がんばります!! (2018年8月22日 16時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:亜桜 | 作成日時:2018年6月15日 17時

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