Episode079 ページ30
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おれはまだ、入隊したばかりの訓練生。今日も訓練が終わって、一緒に帰る予定の友達を待つ。狙撃手とは練習が別だから、いつもこうしているのだ。
「待たせてごめん!!ちょっとやらかしちゃったから先帰ってて!」
「何したの?」
おれがベンチに座っていると、待っていた張本人である佐鳥賢が両手をバチッと合わせて謝ってきた。後ろから、東さんと呼ばれる狙撃手の人が歩いてくる。
「い、いやそんなことどーでもいいじゃん?とにかく一緒に帰れないから先に帰……」
「いや、いいよ」
おれはベンチから立ち上がり、あたふたする友人と視線を合わせた。
「怒られてるとこ見てから帰るから」
「ちょっと?趣味悪くない!?」
そんな佐鳥をよそに、おれは東さんという人の元へ歩いて、「ウチの佐鳥がすみません」と頭を下げておいた。
「え?あーいや佐鳥がやったのは……」
「あっれ、東さん?」
東さんがおれに何か言いかけた時、廊下を歩いてきた年の近そうな女の人が東さんに声をかける。黒と赤が印象的な隊服を着ていて、そこにはAと刻まれたエンブレムがあった。
「おー亜桜、これからランク戦でもするのか?」
「そうしたいのは山々なんですけどね……中間近いんで今日は帰ります」
そんな二人の会話を眺めながら、佐鳥が「A級……」と呟いた。訓練生のおれ達からすればA級なんて遠い世界の人なのに、普通の学生であることに若干の違和感があった。
「はは、そういえば成績悪かったな」
「わ、悪くないですよ!」
ボーダーでは精鋭なのに、勉強が苦手だなんて言われても正直ピンとこないほど、目の前の人間を同じ人間だとはまだ思えていなかった。
「ってか、そこの二人どーしたんですか?訓練生ですよね」
その女の人がおれ達の方を見つめて問うた。ぎくっと佐鳥は肩をはねさせる。
「あー、そっちの狙撃手の子が転んだ拍子に変な方に弾打っちゃって、それがパソコン貫通したんだよ。それで今から鬼怒田さんのところに謝りに行くところだ。もう一人は友人の……」
「時枝です」
東さんにまだ名乗っていなかったことを思い出して、おれは自分の名前を告げた。そして先程の東さんの発言を受け、おれは佐鳥の顔を見つめる。何をやったのか隠していたのは、単に恥ずかしい理由だったからだったのか。
「……本当鈍くさいよね」
「うるさいな!東さんだってそんなポンポン言わないで下さいよー!」
佐鳥は顔を真っ赤にして声を荒らげた。
「っははは、やばいそれ最高」
女の人も、お腹を抱えて笑った。
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亜桜(プロフ) - 深未さん» つけてないですよ〜! (2019年12月18日 8時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
深未 - 夢主ちゃんバックワームつけてないの?笑 (2019年12月18日 0時) (レス) id: cdb3fa391f (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 霧月さん» そんなに嬉しいお言葉を頂けてうれしいです(T^T)続編更新致しましたのでそちらもよろしくお願いします! (2018年10月8日 12時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
霧月(プロフ) - とても面白いです!!夢主ちゃんの性格も大好きです!!更新楽しみにしてます(≧∇≦*)大変だと思いますが、頑張ってください! (2018年10月8日 0時) (レス) id: 77a041f6c8 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - R.Oさん» ありがとうございます(T ^ T)がんばります!! (2018年8月22日 16時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜桜 | 作成日時:2018年6月15日 17時