Episode078 ページ29
Aside
日曜なのに出水を呼んで、エンジニアのところにまでついてこさせて、最終的にランク戦を私がやりたいだけ付き合わせて。貴重な休日を潰して申し訳ないとは思ってるよ、出水くん。
「二○本はなかなかキツいわ」
「太刀川さんと戦るより少ないでしょ」
あの人、最低でも三○本は戦るから。五○本とか平気で戦るし、それに引き換え私は二○本戦ったのは今日が初めてで、いつもは十本しか戦らない人間だ。
「絶対ピンクにしてやると思ってたんだ」
「お前スマホケースも財布も何なら私服もその色だもんな」
私は小学生のランドセルから桜色で、私服も私物もこの色が多い。しかもこだわりがあって、濃いピンクじゃなくて桜ピンクが好きなわけだ。まあトリガーは蛍光なので、若干濃い桜ピンクになったが。アステロイドもメテオラもシールドもグラスホッパーも弧月も全部この色にしてもらった。好きな色のトリガーで戦るランク戦はいつもより楽しくて、二○本も付き合わせてしまった。
「でも、なんで今更変えたわけ?」
「A級上ってからって決めてたんだって」
「いやでも上ってからもう結構経ってんじゃん」
単に、きちんと強くなる前に色々いじって目立っても嫌だっただけ、A級に上がる前に満足したくなかっただけだ。A級に上ってすぐしなかったのも、ちゃんとA級として慣れてからにしようと思っていただけ。
「まあ……S級無理だったしこれからもA級として頑張るっていう証として、かな」
それを訊くと出水は「へーえ」と意外そうに呟いた。
「意外と考えてるよな」
「いや私だって色々考えてるっての」
ボーダーに関しては軽率な行動をしたくないのだ。それくらいここは私にとって大切な場所。まあ戦い出すと感覚と直感で動いてしまうのだが。
「あー米屋も来ないかなランク戦したい」
「あいつ今日任務だろ」
そーだよねー、と私はため息をつく。
「そういやさ、この前の入隊日にすげー射手が入ってきたんだよな」
「えっそーなの?」
出水は天才で、いつも偉そうなことを言うけれど素直に他人の実力を認められるタイプでもある。自分以外は弱いと思っている傲慢タイプの天才とは違う。
「歳上なんだけどさ、二宮さんって人でトリオン量がハンパねーの」
「え、出水より多い?」
「たぶんな」
まじか、と私は声を漏らした。出水よりもトリオン量があるとなると、かなりの逸材だ。これから強敵になりそう。
「正隊員になったらランク戦してみたいよね」
「……お前、そーゆとこ太刀川さんに似てるよな」
出水は少し引いたように苦笑いをした。
286人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
亜桜(プロフ) - 深未さん» つけてないですよ〜! (2019年12月18日 8時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
深未 - 夢主ちゃんバックワームつけてないの?笑 (2019年12月18日 0時) (レス) id: cdb3fa391f (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 霧月さん» そんなに嬉しいお言葉を頂けてうれしいです(T^T)続編更新致しましたのでそちらもよろしくお願いします! (2018年10月8日 12時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
霧月(プロフ) - とても面白いです!!夢主ちゃんの性格も大好きです!!更新楽しみにしてます(≧∇≦*)大変だと思いますが、頑張ってください! (2018年10月8日 0時) (レス) id: 77a041f6c8 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - R.Oさん» ありがとうございます(T ^ T)がんばります!! (2018年8月22日 16時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:亜桜 | 作成日時:2018年6月15日 17時