Episode073 ページ24
迅side
ああ、この子太刀川さんと同じタイプだ。格上と戦るときに笑ったり、強い相手と戦るのを楽しみにしていたり。好戦的で感覚派で、成長が早いタイプだ。そうでもないと、中学生でA級なんて無理か。
「メテオラ!」
先に仕掛けてきたのは彼女で、おれはその弾を避けたり斬ったりしてダメージを受けない。
「うおっと」
でも数発地面に当たって、足場が崩れた。一瞬バランスを崩した隙に、砂煙で視界が悪くなる。その煙を切り裂いて、一本の弧月がおれの心臓を狙った。
「流石に当てさせないよ」
おれはスッとそれを交わして、砂煙の中に見えた人影にスコーピオンを振りかざす。
「ッグラスホッパー!」
でもその子はグラスホッパーで加速しておれの攻撃を避けて、宙返りをしておれの背後に回る。気配を察知しておれは真上に跳んだ。
「……中々当てさせてくれませんね」
「悪いけどおれも本気なんだ」
Aちゃんは、中学二年にしてA級太刀川隊の万能手。弧月では、あの太刀川さんとのランク戦で度々ポイントを失っているにも関わらずマスタークラス。それに有効なサイドエフェクトも持っている。個人ランクは十位代後半とパッとしない順位だが、この歳でそれだと考えると明らかに普通ではない。若さ、いや幼さ故の勢いがあるのだろう。しかも独学というところがまた恐ろしい。この子をボーダーに入れたのは太刀川さんだけれど、彼は彼女の師匠ではない。師を持たずに、この歳で登ってきているのだ。
「でも、まだ負けられないんでね」
「っ!」
おれはタンっと一気にAちゃんとの距離を詰めて、左腕を飛ばした。もともと乱戦でトリオンが減っている上に弾でさらに消費しているので、傷を増やせばトリオン漏出過多を狙えそうだ。まあ、そうするつもりはないが。
「アステロイド!」
一旦彼女が後ろに引いて、そこからアステロイドを放つ。おれはそれをシールドで受けて、収まったところを突こうとした。
「うお、その傷でこの弾数……!」
パリィイイン
しかし弾数でシールドが壊されて、その弾はおれの腕や頬に傷を付けていった。何発か腕を貫通してトリオンが漏れる。トリオン漏れが多いこの状況で、火力勝負に出るなんて……。もう少しセーブして撃ってくるかと思ったのに。
「っ!」
「!」
そして下がった距離分彼女が距離を詰めてきて、弧月がおれの腹に刺さる。咄嗟にスコーピオンで逸らしたから腹で済んだが、あと少し遅かったら胸を貫いていた。
「Aちゃんて馬鹿なのか迷いがないのか分かんないよね……」
おれは苦笑いをした。
Episode074→←Episode072 ブラックトリガー
286人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
亜桜(プロフ) - 深未さん» つけてないですよ〜! (2019年12月18日 8時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
深未 - 夢主ちゃんバックワームつけてないの?笑 (2019年12月18日 0時) (レス) id: cdb3fa391f (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 霧月さん» そんなに嬉しいお言葉を頂けてうれしいです(T^T)続編更新致しましたのでそちらもよろしくお願いします! (2018年10月8日 12時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
霧月(プロフ) - とても面白いです!!夢主ちゃんの性格も大好きです!!更新楽しみにしてます(≧∇≦*)大変だと思いますが、頑張ってください! (2018年10月8日 0時) (レス) id: 77a041f6c8 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - R.Oさん» ありがとうございます(T ^ T)がんばります!! (2018年8月22日 16時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:亜桜 | 作成日時:2018年6月15日 17時