Episode067 ページ18
太刀川side
くあ、とあくびを漏らして、隊室から出る。廊下を歩いて角を曲がって。
「やっほー太刀川さん」
「迅」
目的のランク戦ブースがすぐ目の前というとき、迅に遭遇した。こいつが一人でこの付近にいるのは珍しい。
「太刀川さん、ランク戦しない?」
「は?」
またまた珍しいことが起きた。こいつが自分から俺を誘ってくるだなんて、一体何が起こっているのだ。また何か企んでいるのだろうか。
「何が狙いだ?」
「別に狙いなんてないよ、ただ戦れるうちに戦っとかなきゃなって」
迅の意味深な発言を訊いて、途端にある言葉が頭に浮かんだ。
『え、何あれブラックトリガー?』
それはさっきAが言ったあの言葉。こういう勘だけは鋭いようで、俺の中でAと迅の発言が繋がった。
「お前まさか、S級に上がるつもりか?」
「え、」
迅は俺に勘付かれたことを心底不思議そうにしていた。S級に上がればランク戦には参加できなくなるし、さっきの迅の台詞の意味も分かる。
「さっきAがサイドエフェクトで視たんだ、会議室にブラックトリガーが持ち込まれたのをな」
直接上から連絡がないということは、今の時点ではまだ極秘なのだろう。だが迅の未来予知ならそれくらい見えるはずだ。
「へえ、Aちゃんのサイドエフェクトか」
迅は興味深そうに頷いた。そして「その通りだよ」と加えて言う。
「個人ランク一位と二位のうちにバトりたくてさ」
「望むところだ、三十本は戦らせろよ」
――――Aside――――
また戦ってる……と、画面を見上げて思う。迅さんは嫌がるくせに何だかんだ言って太刀川さんとのランク戦を断らないし、楽しんでいる。しかし今日は特に楽しそうだった。
太刀川○×○×○×○×○○
迅 ×○×○×○×○× ×
そしてランク戦は終了、太刀川さんの勝ちだ。まあこれが何十本目なのかは知らないが。
「お、A」
「傍から見てると余計にバケモンですね」
二人が一緒にこちらに歩いてきて、私に気付いた太刀川さんがまず声をかけてくる。味方ではない時の太刀川さんはただの化物だ。
「おい迅、せっかくだからAとも戦ってったらどーだ?」
「ちょっ!」
太刀川さんがとんだ無茶振りをして、私は止めに入る。迅さんは「うーん」と唸ったあと、いつものようにへらっと笑った。
「いや、いーよ。どうせ近いうちに戦ることになるから」
私と太刀川さんは頭に「?」を浮かべて停止する。それを見た迅さんは今度は可笑しそうに笑って、私達に背を向けて歩いて行った。
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亜桜(プロフ) - 深未さん» つけてないですよ〜! (2019年12月18日 8時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
深未 - 夢主ちゃんバックワームつけてないの?笑 (2019年12月18日 0時) (レス) id: cdb3fa391f (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 霧月さん» そんなに嬉しいお言葉を頂けてうれしいです(T^T)続編更新致しましたのでそちらもよろしくお願いします! (2018年10月8日 12時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
霧月(プロフ) - とても面白いです!!夢主ちゃんの性格も大好きです!!更新楽しみにしてます(≧∇≦*)大変だと思いますが、頑張ってください! (2018年10月8日 0時) (レス) id: 77a041f6c8 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - R.Oさん» ありがとうございます(T ^ T)がんばります!! (2018年8月22日 16時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜桜 | 作成日時:2018年6月15日 17時