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Episode065 ページ16

Aside


「、?三輪くん?」


基地の廊下で、三輪に会った。三輪は私を見るなり少しだけ申し訳無さそうな顔をして、でもすぐにいつもの無表情に戻る。


「少し話さないか?」


いいけど……と答えると、三輪はすぐに歩き出してしまった。


.


夕方より人が少なくなったランク戦ブース。そこのソファーに私達は向かい合うように腰掛けて、三輪がゆっくりと口を開いた。


「昨日は、みっともない所を見せて悪かった」
「いや全然大丈夫だよ!気にしないで〜」


私は両手を振りながら眉を下げた。すると三輪は不思議そうに私を見て、首を傾げる。


「昨日とは別人だな」
「え」
「昨日はそんなお人好しじゃなかったと思うが」


言われて私は顔を引きつらせた。昨日は何もかも作るのを忘れていた。三輪のことも呼び捨てしまう有様だし。


「……まあ、こっちこそ割り込んでごめん。二人の問題だったのに」


私は昨日と同じ、作らない声のトーンで三輪にそう言った。「別に気にしてない」と三輪は返す。


「……三輪には、感謝してるんだよね」


不思議そうに三輪が私を見つめた。


「私隊組んで米屋のこと放ったらかしちゃったから」


優しい米屋を一人にしてしまったかもしれない。その罪悪感が、いつもどこかにあった。一人にされる方の気持ちは、痛いほど分かるくせに。


「でもね、そんな時三輪が米屋の傍に居てくれたんだ」

「三輪が、米屋を一人にしなかったんだ」


空いてしまった私の席に、三輪が座ってくれたから。実際米屋がその辺りを気にしていたかどうかは分からないけど。


「だからさ、尚更あいつのこと傷付けて欲しくなかったんだよね。勝手だけどそれでお節介しちゃった」


そうか、と三輪が呟くと、暫く沈黙が続いた。


「……親友が、ネイバーに連れ去られたらしいな」


思いもよらない三輪の発言に目を見開くも、すぐに三輪がこれを知った経緯を理解して「米屋か」と声を漏らす。


「でも三輪と違って家族は無事だし、三輪より大したことないよ」


上を目指す理由にもなったし、と私は加えた。


「なぜ俺と比べる?」
「いや……」
「俺が何だろうと、お前が辛いと感じたならそれは"辛いこと"だろう」


固まって三輪を見つめた。三輪には、俺の方がずっと辛い目に遭っていると、そう言われるだろうと思っていたから。


「そっか」


あいつは居なくなった。


だけどボーダーに入って、白黒(モノクロ)だった世界に色がついて、生きているのが楽しくなって。それに遠征に行けばまた会えるかもしれないのだから、私はもう大丈夫。

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亜桜(プロフ) - 深未さん» つけてないですよ〜! (2019年12月18日 8時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
深未 - 夢主ちゃんバックワームつけてないの?笑 (2019年12月18日 0時) (レス) id: cdb3fa391f (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 霧月さん» そんなに嬉しいお言葉を頂けてうれしいです(T^T)続編更新致しましたのでそちらもよろしくお願いします! (2018年10月8日 12時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
霧月(プロフ) - とても面白いです!!夢主ちゃんの性格も大好きです!!更新楽しみにしてます(≧∇≦*)大変だと思いますが、頑張ってください! (2018年10月8日 0時) (レス) id: 77a041f6c8 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - R.Oさん» ありがとうございます(T ^ T)がんばります!! (2018年8月22日 16時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:亜桜 | 作成日時:2018年6月15日 17時

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