彼と過ごした一週間【銀魂】

8.好機 ページ11

「おいおい嬢ちゃん。まさかあの資料全部片付けたのかァ？ほんとに団に入ってもらいたいぜ…。」


廊下にて、阿伏兎さんに会うなり言われる。組織に入るなんてことはできないが、褒められたので悪い気はしない訳で。


「はい。あの、いつもお疲れ様です…。」


昨日のあの資料を片付けた身として、きっといつもこの役目をしているであろう阿伏兎さんに思わず同情してしまう。沖田さんのためた仕事の方がまだ楽だったなんて思う日が来るとは…。


「ほんと困ったもんだよ、あのすっとこどっこい。問題起こしてきては後始末を俺に押し付けて……」


「ねえ阿伏兎？俺の客に気安く話しかけないでくれる？」


いつもと何ら変わらぬ笑顔で歩いて来る神威さん。いや、少し不機嫌だろうか？
…てか私は客じゃないし。できればこんな恐ろしい場所に招かれたくなんてなかったわ。


「そりゃないぜ。そもそも客に仕事なんか任せるやつがあるか。にしても団長、珍しく早起きだな。」


神威さんが呑気にゆっくりと寝ているイメージもないが、早起きをしているイメージもない。なんというか、行動が読めない人だなと思う。


「ちょっと野暮用でね、シンスケに呼ばれたんだ。あ、Aも来る？」


「…いえ、流石に高杉晋助と行動を共にする訳にはいかないので。」


する訳にはいかないというよりかは、一緒に行動したくないという気持ちの方が強い。やはり真選組内で女隊士は目立つ。顔も割れているだろう。もし知られていなくても、隊服を着ていないとは言えど、神威さんが一言「真選組の…」なんていったら即ゲームオーバーである。

最悪、存在がバレてしまったとしても、会わなければセーフではある。多分。


「じゃあ俺一人で行ってくるよ。シンスケが待ってるだろうしね。」


そういうとスタスタと歩き、すぐに姿は見えなくなってしまった。
え？なにも指示をせずに放置ですか。阿伏兎さんもすぐどこかへと行ってしまい、本当にただ一人ぽつんと取り残された。いや、私は別にいいが、なんて無防備な。


しかし、私としては願ったり叶ったりである。神威さんと高杉の2人が同じ場所にいる上、野暮用でいないとなる。これは、組織の情報を手に入れるチャンスなのではないか？
すぐさま行動に移すべく、私は歩き出した。

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