108．言葉 ページ15
エミさんの過去編的なのが始まるよ！若干ベーコンレタス要素あるから気を付けて！
―――――――
エーミールside
エ「…はぁ。」
憂鬱。
とはこう言うときに使うんだろう。
体が重い。
「こんにちは。エミさん。」
凛とした鈴のような声に、伏せていた顔をあげる。
そこにはいつも通り無表情のAさんが立っていた。
よく図書室に来る彼女。
密かに彼女と話すのが楽しみだったりする。
…酷いことした人に好かれたくはないでしょうけど。
本を持って立っている彼女に席に座るよう促す。
少しだけ憂鬱な気分も晴れた気がする
貴「なにかありましたか？」
エ「…少し、昔の事を思い出してしまって。」
不思議だ。
彼女には何故か嘘をつけない。
いや、言葉を求めているだけかもしれない。
彼女の嘘のない言葉を。
彼女自身が信じている言葉を。
貴「…過去は、囚われてしまいますよね。」
エ「Aさんもあるんですか？」
貴「はい。でも、私は囚われなきゃいけないんです。それに値する、最低な事をしたから。」
この言葉だって、彼女自身そう思っているから、嘘ではない。
例えそれが他人にとって嘘だとしても。
エ「最低、ですか…私も、最低な事をしたんでしょうね。誰にも言えないような、恥だらけの過去。でも何処かで、解放されたいとも願っている。」
貴「…思ったら駄目なことは百も承知なんですけどね。人間は欲深い生き物です。幸せの中に不必要な物は排除したがる。」
そして、心に来る。
改めて、考えさせられる。
そのお陰で、少しだけ心が軽くなる。
あんなに酷い過去でも、彼女なら受け入れてくれる気がする。
そんな勝手な希望が湧いてくるから。
エ「仕方のないことと割り切れたら楽なんでしょうけど。」
貴「あー分かります。」
ふと、堅苦しい口調が崩れる時がある。
その時だけ、遠い存在の彼女を近くに感じられる。
遠い存在…と言うよりは、儚い存在の方が近い気がする。
桜の様に雨風に晒されれば簡単に散ってしまう。
そんな感じ。
エ「なんか、堅苦しいですか？」
貴「いえ。大丈夫です。」
エ「ふふ。なら良かった。生憎教授という立場に居るもんで、つい堅苦しい口調に。」
貴「そんな感じがします。…ここに来てから勉強してないなぁ。まだ卒業してなかったんだけど。」
エ「Aさんなら大丈夫ですよ。貴女が良ければ、私が教えますが。」
貴「ほんとですか？助かります。」
でも、絶対に散らせたくない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 295人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
trap(プロフ) - 428-clover さん» いえいえ、こちらこそここまで読んで頂き有難うございます。続編はなるべく早く公開出来るように頑張ります！ (2019年3月12日 19時) (
レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
trap(プロフ) - じゅぴぴさん» そうです。私こそ紙です！← (2019年3月12日 18時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
じゅぴぴ - 最高……作者さん神 (2019年3月12日 18時) (レス) id: 5ca5f272e2 (このIDを非表示/違反報告)
428-clover - trapさん» 返信有難う御座います。公開を楽しみに待っています。素敵な作品をありがとうございます (2019年3月12日 16時) (レス) id: 19ad0dfb0e (このIDを非表示/違反報告)
trap(プロフ) - 428-clover さん» この話の続編は誤字や変な文面を確認&手直しした後に公開しようと思っています！ (2019年3月12日 16時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
