第30話 ページ32
*トントン side*
全員が出ていったのを見計らい、俺は二人に向けて切り出した。
ト「ホンマに、チーノの事何も知らんのか？」
少し強めの口調でそう言い放つと、大先生は何か言いたげにグルさんの方を見やった。
その視線に気付いているのかいないのか、グルさんはスッと目を伏せる。
ト「なぁ、グルさん……お前、大先生がうちに来た時、大先生の素性を知ってたにも関わらず隠してた事あったやろ。大先生が───スパイやって目星ついてたくせに」
オブラートに包む事無くストレートに告げると、二人は微かに目を見開いた。
そう。俺が今回グルさんを疑ったのは、そういう前科があったから。
別に、大先生がスパイだったという過去に関しては今やどうでもいい。
それよりも、大先生に訊かなければならない事があるのだ。
ト「んで、大先生。お前が仲間になってから、グルさんが気まぐれで拾ってくる人間について詳しく調べる事ができるようになった。お前が、人一倍情報に強いおかげでな」
鬱「……なーに、トンち。珍しいやん、僕の事褒めるなんて」
ト「アホ。お前の能力は、最初っから認めとる。だからこそ……なんでチーノに関して何も情報を得られんかったんか、不思議なんや」
ジロリと睨むと、大先生はへらへらした笑みを消して無表情になる。
その切り換わりの速さにゾクリとしつつ、グルさんの方を改めて見やる。
ト「なぜ、大先生がいるのに一切の情報が得られなかったのか……。考えられる可能性は……誰かさんが、意図的に隠したか」
そっと机上に手を置き、その真っ赤な瞳を見下ろす。
ト「どうなんや、グルッペン」
グ「……………」
微かに目を細めた彼は、観念したようにふっと笑みを漏らした。
グ「……ああ、お前の言う通りさ。やはり、書記長サマの目は誤魔化せんな」
ト「はぇ〜……一年以上隠し通しやがった御方が、何を言うてはるんですかねぇ」
鬱「グルちゃん……」
不安げに視線を向ける大先生に、グルさんは余裕の笑みを見せる。
グ「構わんさ。充分だ。それに……今打ち明けなければ、恐らく二度と機会は無い」
そう言ってグルさんは、俺を見据えてゆっくりと口を開いた。
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空文 晴霧(プロフ) - suzurei/鈴玲さん» ありがとうございます！ 頑張ります！ (2020年3月30日 12時) (
レス) id: 9bc8a66818 (このIDを非表示/違反報告)
suzurei/鈴玲 - 更新頑張ってください…！応援してます！ (2020年3月30日 12時) (レス) id: 54995dabe3 (このIDを非表示/違反報告)
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