ATTENTION (ページ7)

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#K.Kenta ページ7

Aside

インターホンを鳴らし暫くしてゆっくり開けられたドアの隙間から
ひょこっと顔を覗かせた家主

健太「……来るなんて聞いてないんだけど」

「さっきLINEしましたよ、既読ついてないけど」

健太「既読付く前に普通は来ないから」

何故か躊躇って渋る健太くんを疑問に思いながらも
強行突破してやろうとドアに手をかけた時だった

『健太〜？誰？』

健太くんの背後から顔を覗かせた
ブランケット一枚羽織っただけの女

……なるほど

例の " お楽しみの日 " ってこれのことね

『もしかして彼女？いないって言ってたよね？』

健太「彼女とかじゃ、」

『最っ低、有り得ない』

パチンッ、と静かな玄関に響き渡る乾いた音

創作物ではない修羅場に実際遭遇してしまった時
人は本当に身動きが取れなくなるらしい

荷物を持って戻ってきた女は、呆然と立ち尽くす私を
押し退けるようにして部屋を出て行った

「……もしかして彼女？」

健太「狙ったように同じこと言うなよ」

健太「ただのセフレだから気にしないで」

玄関に備え付けられた全身鏡と向き合い
真っ赤に腫れた左頬を摩っている健太くんに抱き着く

そしたら少し蹌踉けながらも肩に腕を回してくれる

健太「見て、こんなの漫画でしか見たことない」

「手形ってほんとに付くんですね」

健太「しかもそんなに痛くないの。不思議じゃない？」

「多分それ麻痺してるだけですよ」

鏡越しにふと目が合い、吹き出した健太くんに釣られて
修羅場の後とは思えない程の笑い声が響く

特に怒っていないということは
慎の言う通り本命ではなかったみたいで安心

この人一度機嫌損ねると長いから

「あの子、私だって気付いてなかった」

健太「すっぴんだからじゃない？」

「何が言いたいんですか？」

健太「てかもう泊まってくよね？」

「はい、最初からそのつもりで来たんで」

抱き着いたままグダグダとリビングまで移動して
ソファに腰掛けた健太くんの膝の上に跨ると

頬を両手で包み、軽く触れるだけのキスを落とした

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