ATTENTION (ページ40)

今日:23 hit、昨日:58 hit、合計:224,241 hit

独占欲ページ40

Aside

東京公演初日、瑠唯くん差し入れのラテを嗜みながら
今日も今日とて某動画館のカメラと睨めっこ

昨晩嫌という程に刻まれた独占欲の塊を
無言でカメラに見せ付けていれば偶然当の本人を発見

楽屋に戻ろうとする彼を慌てて引き止める

壱馬「ここで暴露したところでどうせ使われへんけどな？」

マスクをしていても分かるニヤケ顔で近付いてくると
私を通り越しケータリングのクッキーを手に取る壱馬くん

それを1口だけかじり、満足気に首を縦に振っている
そんな仕草からは到底想像も出来ない夜の顔

……本番前に思い出すものではなかったと遅過ぎる後悔

壱馬「うっまこれ、どこのやろ」

「銀座の並んでも買えないで有名なスイーツ店」

壱馬「あ、これAの差し入れ？」

「適当に言いました」

壱馬「どんな嘘なん」

楽しそうに吹き出しながら頭を小突いてくる手を掴み
グイッと私の方へ引き寄せると、一瞬にして消える笑顔

撮影中と表示されているカメラに廊下を行き交うスタッフさん

壱馬「……おい、A、」

「今日部屋行ってもいいですか？」

壱馬「は？絶対今とちゃうやろその話」

力任せに振り払ってこようとする壱馬くんの細い手首を
そのまま私の下腹部に当てがうと、至近距離で視線が交わる

「昨日、壱馬くんに滅茶苦茶に抱かれた余韻が未だに抜けない」

「どうしてくれます？」

周りには聞こえない程度の小声でそう囁いてみると
分かりやすく見る見るうちに頬を赤く染めていく壱馬くん

瞳を泳がせまくった後、今度こそ本当に振り払われてしまった

壱馬「……データごと消しとけよ」

詰まり詰まりの早口でそれだけを吐き捨てると
駆け足で楽屋に戻って行った壱馬くんに言われた通り

素直に撮影記録を端末から抹消しておくことにした

RIKU「今日壱馬さ、リハから不調なんだけど何か知らない？」

「それ私に聞くあたり絶対確信犯ですよね」

RIKU「バレた？実は北ちゃんから全部聞いちゃったんだよね」

ボーカル組の楽屋前、待ち構えるように立っていたRIKUさんに
まんまと捕まったかと思えばそんな話

グイッと腕を引っ張られると耳元に寄せられるお顔

RIKU「Aに男がいて落ち込んでるって」

「……この先一生あの人の言うことは信じない方がいいですよ」

RIKU「え？」

.