処刑９ ページ10
「きゃぁぁぁぁ！」
突如聞こえた叫び声で私達は起きた。
「い、今の何...？」
「さ、さぁ...とにかく行ってみよう。」
突然の出来事でパニックになりながらもフェイと一緒に叫び声が聞こえた方へ向かう。
もしかして、本当に人狼なんじゃ...？そんな考えが頭を過り不安になる。
そして、階段を降りた所で前を歩いていたフェイが立ち止まった。
「.....。」
彼は一言も発さずその場で固まってしまった。
「ど、どうしたの、フェイ...？」
私は恐る恐る彼の後ろから前を覗き込んだ。
「.......嘘。」
そこには、鋭い牙と爪によって引き裂かれ血だらけで倒れているお爺さんの姿があった。
「な、なんなのよ...これ...。」
悲鳴を聞き駆け付けたリリアンが床に座り込んだ。
それから他の遭難者達も集まり、この状況をどうするか必死になって考えた。
「人狼...。」
ロディがふとお爺さんの死体の傷を見て呟いた。
「ま、まさか...。」
その傷を見ても尚クリスは信じないようだった。
「クリス、この噛まれた跡や引っ掻き傷を見て、他に誰がやったと言うんだい？」
「.....。」
ロディの言葉に一同は黙り込み、静寂が訪れる。
確かに、この傷は普通の人間が作るには到底不可能だ。かと言って、獣に襲われたとしても屋敷に獣は居ないし、吹雪の中こんな事をする獣は滅多に居ないだろう。
「とりあえず、このまま死体を放置する訳にもいかないねぇ。」
いつもは優しそうな顔をしているバニラも今は険しい顔をしていた。
とりあえず、お爺さんの死体はロディとクリスでお爺さんの寝室へ運んだ。
「わ、私達はこれからどうしたら...。」
そう言ったエマは、身体が震えており、今にも倒れそうなぐらい顔を真っ青にしていた。
サンドラとジェシカはお互いを必死に支え合っていた。
フェイの方を見ると彼は顔を真っ青にし、お爺さんの死体のあった場所をじっと見つめていた。
それからロディとクリスが戻ってきて皆で状況を整理する事になった。
「まず、お爺さんの死体を最初に見つけたのは誰だい？」
ロディは落ち着いた声で皆に質問をした。
「わ、私...。」
エマはその光景を思い出したかのように顔を青白くさせ言った。
「そうか...。」
ロディは暫く考えた後、手に持っていた本を見せた。
「この本はお爺さんの部屋にあったんだけど...。」
そうして、ロディはあるページを開いて見せた。
そこに書いてあったのは『人狼』についてだった。
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作者名：とらんぷ | 作成日時：2018年11月5日 23時
