処刑１８ ページ19
その夜、私は物音で目が覚めた。
隣で寝ていたはずの彼は何故か今日も居なかった。
またトイレ...？
しかし、二日連続でこんなことがあるだろうか？
物音がしたのは彼がトイレに行った音だろうか？
私は彼を疑いたくはないが気になりだしたら確かめずには居られなかった。
私はドアを開け、廊下を見渡した。
そこにはエマとバニラの部屋に入っていく彼の姿があった。
更にはエマと彼は腕を組んでおり、お互い楽しそうに部屋に入って行った。
私はその光景を見て崩れ落ちた。
フェイがエマの部屋に...？それにエマも笑顔で...。
私は悪い予感が頭を過った。
こんな屋敷で言うのもなんだが私はフェイのことが昔から好きである。
勿論、彼とは付き合っている訳ではないが、彼も私を好いてくれていると思っていた。
...が、今、エマとフェイの姿を見てしまった。
こんな二日で、更にはサンドラを処刑した中でどうして二人が楽しそうに話していたのか。
更には部屋の中に入って行ったのだ。
私は二人が短期間で恋人同士になったのではないかと思った。
考え出したらそのことしか考えられなくなってキリがない。
昨日も彼は居なかった。彼はトイレに行っていたと言っていたが果たして本当にそうだろうか？
彼を疑い出したら止まらなくなり死にたくなった。
どうして私はこんなものを見てしまったのだろうか。
それに彼がサンドラを処刑した後にも関わらず、エマと楽しそうに話していたことに絶望した。
どうして楽しそうにして居られるのだろうか？もしかして恋人だから恋人と居れば何も怖くないという感情みたいなやつだろうか？
私は訳が分からなくなりその場で声を出さずに泣き出した。
その時、
「貴方も可哀想ねぇ。」
と、不気味な笑顔をしたバニラがこちらに向かって言った。
そして私の両頬をしわしわになった手で包み赤い目を光らせて言った。
「でも彼には感謝しなくちゃいけないよ。」
私はそのバニラの発言、行動に恐怖が駆け巡り動けなくなった。
バニラは私を見つめている。私はその目を離すことができなかった。
怖い。逃げ出したい。助けて。殺して。死にたい。
私は様々な感情が自分の中で巡りだし可笑しくなりそうだった。
そして、バニラが人狼なんじゃないかという思考が過った。
バニラは固まっている私を楽しげに見た後去って行った。
私は急いで部屋に入り呼吸を整えた。
そして何もかもが分からなくなり、考えるのはやめ再び眠りについた。
続く (更新停止中)
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作者名：とらんぷ | 作成日時：2018年11月5日 23時
