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逃げ道。 ページ2

ーー





「お待たせしましたー、オレンジジュースです」



『頼んでいません。』




突然部屋に押しかけてきたかと思うと、
流れるように車に乗せられ連れてこられたのは
いつの日か無計画で案内された古びた鉄塔。




枯葉を払いベンチに座ると頬に触れたのは缶の感触。





「あの自販、種類も変わってないし放置されすぎだよなぁ」


『温すぎてホット買ったのかと思った』


「こればっかりは俺の責任じゃないし…
まぁ、肌寒いし丁度いいだろ?」





生温い缶を両手で持つ。

こんな暖かいとは程遠い気候の中、わざわざ戸外で過ごす変わり者なんていないだろう。








「…その目、擦りすぎたんだろ?」





視線を動かさずとも、気配で隣に座るのがわかる。





「はは、俺も昔良くやってたなぁ…

泣いたって誰にもバレたくなくてさ、


…結構痛いだろ、それ。」



『……』





ぽつりぽつりと懐かしむように呟く言葉は
彼自身に向けているとも捉えられる。





「どう考えたって自分が悪い。


そう分かってても悔しかったり、認めたくなかったりしてさ



モヤモヤして、イライラして


それをどこにぶつけていいかも分からない。



だけどほんの少し打撃を食らっただけで



…なんか、涙が止まらなくなるんだよな」





知ってる





「それで散々泣いた後、落ち込むんだよ


何泣いてんだ…って、

悪いのはお前だろって、」



『……』






息が詰まるのを感じる。





彼の言葉は

決して自分を責め立てる様な言葉でもないのに







心臓がぎゅっと掴まれた気分になる。







「…そうすると、今度はどう謝ろうとか
許してもらえるかとか


凄く不安になるんだよな」






苦しい。






「…いざ謝るってなったら、素直になれなかったり、余計なことまで言ったりしてさ、」





それ程までに






彼の言葉が全て








「どうしようもなくて自分が嫌になるんだ」








図星だったから____

___→←〇おさらい(仮)



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作者名:うぃっぷ | 作成日時:2020年10月11日 23時

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