48.初恋の延長 ページ48
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「知ってる?ジフンに彼女できたって」
「え?」
夏が近づいた頃、パクジフンは一つ年上の先輩と付き合い始め、その頃になって私はようやく自覚した。
ジフンへの気持ちは初恋の延長線のようなものではなかったということを。
傷心して学校に一週間ほど登校しなかったが、その間ジュンギュは何度も私の様子を見に訪ねてきた。
ジュンギュ「まだ死にそう?」
「いや…後悔してる…告白すれば良かったって」
ジュンギュ「いや?告白したとしてその後のこと考えた?
話聞いたけど、あいつあの先輩に高校の時から片思いしてたって。玉砕して黒歴史にならなかったことをラッキーだと思いなよ」
「傷口に塩を塗って楽しい?」
一貫して正論だけ言うジュンギュがとても憎たらしかったが、彼は笑みを浮かべて口を開いた。
ジュンギュ「A忘れたの?ジェヒョクに振られた時、
この世の終わりみたいな顔して塞ぎ込んでたでしょ?
なのに、1年も経たないうちに他に好きな奴が出来たじゃん。報われなかった恋はいつか尽きるんだよ」
「いつか尽きる…」
ジュンギュ「よく考えてみて。告白してないんだから、
ジフンとは友達でいられるでしょ?ラッキーじゃん。
Aのその感情はそのうち無くなるし」
「どうしてそんなことが言えるの?」
ジュンギュ「ひとりの人間に片思いし続けることがどれだけ大変だと思う?」
「大変…ジュンギュにわかるの?」
ジュンギュ「…わかるよ…とにかく、そんな大変なことをAが長く続けられるわけない」
その頃から、いつかは尽きる有限の美しさより、
終わりのない無限の美しさに執着するようになった。
恋に二度失敗したせいか、恋も青春も全て過ぎ去る有限の美しさで、何の役にも立たないと切り捨てた。
今振り返ってみると、大分拗らせていたと思うが、
当時はそれくらい悲壮感に溢れていたのだ。
そんな時に学科の授業を受けながら文学を学び、
数百年前の作品が今も変わらず愛され続けていることに
感銘を受けた私は虚しい心を埋めるかのように文学にのめり込んだ。
まあ、現在ジフンは彼女と別れてフリーだが、
今の私は本当に何とも思っていないし、
告白しなくて良かったと思っている。
キムジュンギュが当時の私を踏み止まるように仕向けてくれてちょっと感謝しているのだ。
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扇子(プロフ) - みさん» いえいえ!こちらこそ読んでいただきありがとうございます!これからも更新頑張りますね☺️ (2022年6月26日 1時) (レス) id: 3dae27e4b9 (このIDを非表示/違反報告)
み - 更新してくださりありがとうございます! (2022年6月25日 0時) (レス) @page47 id: 4940a29e5c (このIDを非表示/違反報告)
扇子(プロフ) - ゆゆさん» わ!ありがとうございます!!嬉しいです☺️ (2022年6月3日 17時) (レス) id: 3dae27e4b9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - おもしろすぎて最高です! (2022年6月3日 1時) (レス) @page41 id: 4940a29e5c (このIDを非表示/違反報告)
扇子(プロフ) - みつきさん» わ〜!!ありがとうございます!!嬉しいです☺️これからも楽しんでいただけるように頑張りますね!! (2022年6月2日 22時) (レス) id: 3dae27e4b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:扇子 | 作成日時:2022年5月19日 18時