16.ジュンギュの怒り ページ16
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ヒョンソク先輩は再び新入生達を引き連れて別の場所へ移動し、私は遠ざかっていく彼らをほっとした表情で見送った。
日差しが強くなり、だんだん暖かくなってきた今日この頃だが、私の心に春が訪れるのはまだまだ先のことだろう。
そんな物思いに耽っていると、また鋭い視線を感じた。
放っておくこともできないので後ろを振り向くと、そこにいたのは目を吊り上げて私を見ているジュンギュだった。
さっきと違うのは、目が合っても逸らす様子がないってことだけだ。
「どうしたの?」
ジュンギュ「どうしたのかって?」
「さっきからなんで怒ってんのよ」
ジュンギュ「心当たりないの?俺をいないものとして扱って、新入生に鼻の下のばしてたくせに」
「鼻の下のばしてた?ただ挨拶しただけじゃん…」
ジュンギュ「いや、鼻の下のばしてた!先輩って言われただけで間抜け面してた!」
私…そんな顔してた?
「でも、あんな可愛い新入生を見たらみんな自然と微笑んじゃうもんじゃない?」
ジュンギュ「可愛い?何が可愛いの?それなら俺の方が可愛いよ」
「はい?」
ジュンギュ「Aは俺と一緒にいられることがどれだけ幸せなことなのかわかってない」
私の言動に対し怒りをむき出しにしていたジュンギュは結局また自己陶酔を始めてしまった。
「自惚れないで…そろそろ授業始まる時間だよ?次の授業は教室違うから、私もう行くね」
ジュンギュと専攻する授業が別で本当に良かった。
ジュンギュ「待って、A」
私は自由の身を満喫しながら、次の授業がある建物に移動しようとしたが、後ろからジュンギュの声が聞こてきたことにより立ち止まってしまった。
「なに?」
ジュンギュ「…俺とあいつ…どっちがイケメン?」
「え?」
どうしてまたそんなことを…
「あ〜、プリンスの座が奪われそうで怖いの?」
ジュンギュ「………もういい」
そう言うとすぐにジュンギュは私に背を向けて歩いて行ってしまったが、なんだかその後ろ姿は寂しそうに見えた。
どうしてイケメンに優劣をつける必要があるのだろうか。
みんなイケメンじゃダメなの…
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扇子(プロフ) - みさん» いえいえ!こちらこそ読んでいただきありがとうございます!これからも更新頑張りますね☺️ (2022年6月26日 1時) (レス) id: 3dae27e4b9 (このIDを非表示/違反報告)
み - 更新してくださりありがとうございます! (2022年6月25日 0時) (レス) @page47 id: 4940a29e5c (このIDを非表示/違反報告)
扇子(プロフ) - ゆゆさん» わ!ありがとうございます!!嬉しいです☺️ (2022年6月3日 17時) (レス) id: 3dae27e4b9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - おもしろすぎて最高です! (2022年6月3日 1時) (レス) @page41 id: 4940a29e5c (このIDを非表示/違反報告)
扇子(プロフ) - みつきさん» わ〜!!ありがとうございます!!嬉しいです☺️これからも楽しんでいただけるように頑張りますね!! (2022年6月2日 22時) (レス) id: 3dae27e4b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:扇子 | 作成日時:2022年5月19日 18時