11.またとないチャンス ページ11
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「君はしじみスープのためにここまで来たの?」
ジュンギュ「Aの数少ない得意料理でしょ」
「しじみスープなんて作ったことありませんけど」
ジュンギュ「…じゃあ何でもいい…ラーメンないの?」
いっそ清々しいほどの図々しさに腹を立てながらも、心優しい私は残りひとつあった袋麺を開けてお湯を沸かした。
こんなに尽くしてくれる友達がどこにいるっていうんだ。
「次から食費を請求してもいいかな?」
ジュンギュ「Aはまだ自分が恵まれてることに気付かないんだから」
またジュンギュの戯言が始まった。
ジュンギュ「俺の顔を見るだけで恩恵受けてるでしょ」
「あまりにもてはやされすぎて調子乗ってるね」
まだ何かぶつぶつ言っているジュンギュに適当な返事をして沸騰したお湯に麺を入れた。
自惚れ屋を理解しようとするだけ無駄である。
適当にあしらうのが一番だ。
ジュンギュ「うん〜!やっぱりAはラーメン茹でるの上手いね〜」
「ジュンギュが下手すぎるんだよ。ラーメン茹でるくらい自分でできるようにならないと」
ジュンギュ「俺はラーメン茹でるのが上手なお嫁さん貰うから心配しないで〜…あ、Aが俺と結婚する?」
「ふざけんな」
冗談を言うジュンギュに冷めた視線を送ると、彼は私の反応に苦笑いを浮かべて口を開いた。
ジュンギュ「え〜?Aはまたとないチャンスを逃しちゃったね〜?後悔してもしらないよ〜?ご馳走さま」
ラーメンをたいらげたジュンギュは自然と床に寝転がった。
「寝るなら自分の部屋で寝てよ」
ジュンギュ「めんどくさい」
「めんどくさいのによくここまで来たね」
ジュンギュ「偉いでしょ、褒めて」
「……」
結局その日も私の穏やかであるはずの日常がジュンギュによって妨害されて終わってしまった。
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扇子(プロフ) - みさん» いえいえ!こちらこそ読んでいただきありがとうございます!これからも更新頑張りますね☺️ (2022年6月26日 1時) (レス) id: 3dae27e4b9 (このIDを非表示/違反報告)
み - 更新してくださりありがとうございます! (2022年6月25日 0時) (レス) @page47 id: 4940a29e5c (このIDを非表示/違反報告)
扇子(プロフ) - ゆゆさん» わ!ありがとうございます!!嬉しいです☺️ (2022年6月3日 17時) (レス) id: 3dae27e4b9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - おもしろすぎて最高です! (2022年6月3日 1時) (レス) @page41 id: 4940a29e5c (このIDを非表示/違反報告)
扇子(プロフ) - みつきさん» わ〜!!ありがとうございます!!嬉しいです☺️これからも楽しんでいただけるように頑張りますね!! (2022年6月2日 22時) (レス) id: 3dae27e4b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:扇子 | 作成日時:2022年5月19日 18時