僕らを繋ぐ13の弦

第39話 ページ39

浦「楽器運んだら客席行くよー」
『…ねえねえ、怜生』
怜「ん、どうしたの？」
『浦正先輩、元気無くない？』
怜「確かに、Aよく見てるね、最後だから緊張してるのかな」
虎「Aちゃん慰めてきたら？」
『え、私がですか？虎次先輩の方がいいのでは…？』
虎「…Aちゃんの方が、喜ぶと思う」
『そう…ですか？…わかりました』

『う、浦正先輩！』
浦「…A、どうした？」
『先輩元気無さそうですけど何かありましたか？』
浦「あ……」

ここで伝えないと、Aは蓮次と……

浦「…A！」
『は、はい！』
浦「あの、俺、その……」
『……』
浦「す」
来「先輩ー！早くしないと始まってまいますよー！！」
浦「…ああ！すぐ行く！」
『先輩、さっき何て言いましたか？』
浦「いや、忘れて…ごめん」
虎「来音…タイミングが……」
怜「…俺らも行きましょう」


《プログラムＮｏ．1、瀬口高校、『飛騨によせる三つのバラード』》

《プログラムＮｏ．2、長谷川高校、『螺鈿』》

『どの高校も上手だなぁ……』
宙「僕たち、大丈夫かな…」
涼「できると思っていつも通りに弾くだけやから、大丈夫ですよ」

《プログラムＮｏ．3、下仮屋高校、『じょんがら変奏』》

《プログラムＮｏ．4、藤田高校、『氷華 二題』》

浦「俺らは7番だから、そろそろステージ裏行くよー」

《プログラムＮｏ．5、末吉高校、『月下美人』》

浦「………」
『浦正先輩、緊張してますか…？』
浦「…そうかも」
『…私もです』

《プログラムＮｏ．6、田部高校、『まほら』》

…ｷﾞｭｯ

浦「…A？どうした？/////」
『…前に、発表前に、先輩が手を握ってくれたとき、緊張が解けて、落ち着いて弾けました、だから、今も、発表まで、こうさせてください』
浦「…分かった、俺もこれで落ち着けるかも」

前の高校の演奏が終わった

浦「…行くよ」
全「はい！」

《プログラムＮｏ．7、中野高校》

浦(そういえば、Aの考えた曲名、どうなったのかな…)

私と蓮次くんが仲直りできたこと

涼真くんが部に打ち解けたこと

浦正先輩が狂平さんに本音を言えたこと

宙くんが私を好きになってくれたこと

そして、私と浦正先輩が昔から繋がっていたこと

どれも、箏曲部があったからできたこと

これが、私たちを繋げてくれた

《『僕らを繋ぐ十三の弦』》

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