僕らを繋ぐ13の弦

第18話 ページ18

浦｢真咲とAは初心者だから俺が教えるけど、涼真は経験者だから個人練習の方がいい？｣
涼｢いや、合わせるから大丈夫です｣
浦｢了解！じゃあまずはこの曲に出てくる技を教えるね｣
真A｢お願いします！｣
浦｢この縦の波線みたいなのはトレモロで、人差し指と親指の爪を垂直になるようにつまんで、人差し指で弦を素早く往復するよ｣
『こうですか…？爪が引っかかってる気が…』
浦｢そうそう！慣れればもっと綺麗になるから大丈夫だよ｣
真｢あの、巾のトレモロから急に一を弾くって難しくないですか？｣
浦｢ああ、これはトレモロじゃなくてグリッサンドだよ。巾から一まで一気におりるんだよ｣
真｢なるほど、これ楽しいですね！｣
浦｢気持ちいいよねw、次はこの『ス』って印、すくい爪って言って親指の爪で弾いたら爪の裏で弾くよ｣
真｢難しい…｣
『先輩みたいな音が出ない…』
浦｢難しいよね、俺も最初は嫌いだったから。爪の側面で切るように弾くといいよ。あとは……あ、この『オ』や『ヲ』っていうのは押し手で、『オ』が一音、『ヲ』が半音高くするよ！｣
『えっ、硬！』
浦｢それも慣れかな〜、ん、涼真、それだと一音より高いかな｣
涼｢あ、はい｣
浦｢……涼真って、箏以外に何かしてた？｣
涼｢…どうしてですか？｣
浦｢手の平にまめのあとがあるから、その場所なら箏ではなさそうだし｣
涼｢まあ…｣
『いっ……！！！』
真｢浦正先輩！Aちゃんが手痛めました！！｣
浦｢え！？大丈夫かA！！｣
『へ、平気です…』
浦｢無理に押し手頑張らなくてもすぐにできるようになるから！悪化しないうちに保健室行くよ！虎次！俺Aを保健室連れて行くから時間来たら終わらせて！｣
虎｢了解〜、浦正、襲うなよ！！｣
浦｢するかよ！！｣

『すみません、先輩…私迷惑しかかけてない……』
浦｢大丈夫、俺も最初はそうだったから｣

ーーまた喧嘩したのか？喧嘩して怪我でもしたら部活もできなくなるぞ？ーー

ーー浦正くんの手は誰かを傷つける手じゃなくて、誰かを幸せにする手だよ？ーー

ーー浦正、お前は手ぇ出すな、お前までできなくなったらあかんーー

ーーやっぱり浦正にはかなわねぇな〜ーー

ーー俺は、浦正先輩の音色好きですよーー

ーー浦正、いつか二人で世界一の奏者に…ーー

ーー先輩……浦正先輩……


『浦正先輩！！』
浦｢……ん？｣
『やっと気づいた…保健室つきましたよ？』
浦｢ああ…ｶﾞﾗｯ…失礼します！｣

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