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甘くて、しょっぱい_5 ページ21

しばらくして。

松田は、 Aたちが泊まっているホテルのロビーにいた。
その横には、フロントでキーを貰う姉をじっと見つめる少し気まずそうな顔の優也の姿。

買い物から戻ってきたAと再び入れ替わるように、
松田が後部座席から出ようとしたタイミングで目を覚ました優也は、
自身が身体を預けていたのが彼だと気づき、あからさまに戸惑ったのはつい先ほどのことだった。







ホテルに到着すると、
小嶋は、

「松田さんがいるので、…僕はここで失礼しますね。また、来ますので」

と言って、去っていった。
それは、警察学校生である彼を信用してか、
松田という1人の男に告げた言葉だったのかは知る由もなく、
松田は「は?」と小さく漏らしただけで、当然のようにAたちに付き添っていた。






『すみません…。お待たせしました』

「5階、だったな」

『え?何で…』


キーを片手に、パチパチと瞬きをするA。


「あー、あの小嶋って刑事からちっと聞いただけだ」

『そう、でしたか…』


驚いた表情のまま、軽く頷くAは、
優也と松田ともにエレベーターに乗り込んだ。


『あの、…やっぱり、戻った方が良いんじゃ…。ここまで付いてきてくれただけで――』

「気にすんなっつっただろ。今帰っても、もうちょいしてから帰っても大して変わんねぇよ。
それに、寮には萩たちがいる。アイツらは結構頼りになっからな」


似たようなやり取りは、つい先ほど車から降りたときにも交わしたもので。
軽く口角を上げた松田に、Aは少し考え込むように眉を垂れた。

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作者名:white12 | 作成日時:2023年2月7日 18時

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