SNOW DROP II (7)【名探偵コナン/警察学校組】

応答_4 ページ10

『…遠藤が連行されるのを大人しく見ていたのは何故？』

「…」

『この銃で、五十嵐を人質にして、
…この建物全体の人間を人質に出来たんじゃないの？』

「…」


何も口を開かない男に、
埒が明かない、とため息をつくと、Aは五十嵐の襟元から、強引に彼のネクタイを外した。


「ちょ、…何をするんだ！」

『ちょっと借りるわよ』


手錠は遠藤に使ってしまった。
高木と目暮は彼を連行するため、そして、状況を報告するため、
先に部屋の外に出て応援を呼んでもらっている。

と言っても、事務所前の自動ドアは、
先ほどAが再びLOCKしたため、そう簡単に入っては来れないはずなのだが。


『…手錠が無いんだから仕方ないでしょ』


今度こそ、後ろ手に、ネクタイで拘束される清掃員に”扮した”男。
念の為、他の武器がないか、男のポケットを全て探り、
手首の拘束をもう一度確認すると、その腕を片方の手で掴み、
部屋を出ていくように誘導するA。

『じゃあ、さっさと歩いて貰える？逃げようなんて、思わないで』

続いてカバンを手に、五十嵐を強引に立たせ、
彼の拘束を解くことなく、その手首を掴んで同じく部屋の外へ連行しようとした。






(…本来、一ノ瀬か誰かに来てもらうべきだけど…、
今、妨害電波を切るのは危ないし…)



おそらく、一ノ瀬はインカム越しにAに呼びかけているはず。
接触を試みているはず。

負傷者は出なかった。
“彼”からそう聞いたものの、議員会館のロビーの花壇が爆破されたのだ。


同じ作戦を決行している一ノ瀬たちにとって、
五十嵐の事務所で何かがあった、ということは明白だ。


(…公安の刑事がいるんじゃないの…？)


自身でセキュリティをLOCKしたとはいえ、
五十嵐の事務所のあるこのフロアにも、彼らがいるはずではないのか。
彼らはLOCKされた自動ドアの外にいるということか、
もしくは――、

一部始終について知っていた上で、何か魂胆があって姿を現さないのかもしれない。

彼らは公安なのだ。

苦々しい顔をして、事務所のドアを開けようとしたとき、


「…あの遠藤という男、あまり使えませんでしたね」

『…！』



腕を掴んでいた男が、おそらく輪廻のヒカリの教徒と思われるその男が、
口を開き、

カラン…

と、小さな金属音が鳴ったと同時に、
Aはとっさに彼に銃口を向けた。

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