応答_3 ページ9
『おおよそのデータは既にこっちが押さえているから、あとは…』
紙媒体の書類。
デスクの引き出しに入っていたUSBなど、
今押さえられるものをいくつか自身のカバンに入れていくA。
家宅捜索は、改めて他の捜査員とともに訪れる必要があるが、
他に協力者がいる可能性を考え、最低限、ここで手に入れられる証拠は押さえておこうと言うことだ。
『…で、貴方。既に外れてるわよね。
…じゃなくて、きちんと拘束されてなかった…、わよね』
そして、もう既に怯えた仕草を見せなくなった清掃員に、
後ろ手に拘束された”ような”体勢で座り込んだままのその男に、
Aが近づいた。
「…」
「…は?」
その隣で、何のことか分からず五十嵐が声をあげた。
この男だけ、
遠藤が自ら結束バンドで拘束していたことに違和感を持っていたA。
ただ、偶然にも、不運にも現場を目撃し、
通りかかった清掃員。
怯える様子を見せていたその男だが、
Aには違和感があった。
そして、確証を得たのは、
他のフロアにいると思われる仲間、
おそらく、輪廻のヒカリの教徒と通信が繋がらないことに焦った遠藤の後ろで、
彼もまた動揺した素ぶりを見せていた。
リモコンによって、
この部屋の爆弾が作動しなかったときもそうだ。
それは、爆発に対する恐怖というよりも、
状況が掴めず困惑していた遠藤の表情と同じだった。
それはつまり――。
『…ナイフ。銃。持ってるもの、全部出して』
「…」
『…出して』
カチリ。
安全装置を外し、
銃を突きつけるようにして男に迫るA。
「…」
『ナイフが1本と、銃が1丁。
…銃刀法違反で逮捕…、っていうのも何か馬鹿馬鹿しいわね』
「…」
『”貴方たち”がしようとしている、…ううん、しようと”していた”ことを考えれば。』
銃を突きつけられ、
男が、清掃員の上着の内側から大人しくそれらの凶器を取り出すと、
五十嵐が引きつったように、”ひっ…”と悲鳴を上げた。
とうに自由になっていた男の手。
いや、最初から自由だったその男の手。
その彼の横に座らされていた五十嵐は、
つまり、いつ殺されてもおかしくなかったということだ。
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white12(プロフ) - 開設しましたらお知らせしますね!ぜひ、高さんが描いて下さった夢主ちゃんを見てみたいです! (2020年2月16日 12時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - 高さん» コメントありがとうございます。な...なんと、そんな嬉しいことがあって良いのでしょうか...。本作を読んで頂けているだけでも嬉しいのに、イラストを描いて下さったなんて本当に嬉しいです!実はtwitterはやっていないのですが、この機に...とも考えておりまして。 (2020年2月16日 12時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
高(プロフ) - 夢主さんのイラスト勝手に書かせていただきました笑作者様見ていただきたいんですけどツイッターはやってないですか? (2020年2月16日 12時) (レス) id: 9e0ac4ae00 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - fujizakuraさん» 本作をお読みいただきありがとうございます。公開が遅くなり申し訳ありません。(8)は既に公開済みですので、引き続きお楽しみ頂けますと幸いです。 (2020年1月31日 14時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
fujizakura(プロフ) - 【8】がパスワードがかかっていて見れません (2020年1月30日 17時) (レス) id: 21ccb35895 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2020年1月20日 8時