SNOW DROP II (7)【名探偵コナン/警察学校組】

松葉杖と尋問_2 ページ41

Aをはじめ、二課には取り調べの権利はない。
ただ、一部は一課の人間たちと共有しているとはいえ、
核心に迫るだろう裏の情報を握っているのはAなのだ。

“考えがあります”と、Aは、取り調べをさせて貰えるように目暮に迫った。


「…しかし」

『…』


真剣に、有無を言わさない表情でジロリと目暮を見据えるAに、
目暮は静かに目を閉じ、頷いた。
2日間、自白は得られていない。
どの道、どうするべきか…、といった状況ではあったのだ。


『お久しぶりね。東堂さん？』

「…」

『…まぁ、いちいち覚えてないわよね。大企業の社長さんが。』


そうして、松葉杖をデスクに立てかけ、
目暮と交代するようにして、東堂と対面する形で椅子に腰掛けたA。

目暮はその様子を、壁に背をつけて見つめていた。


『あの川端って男。…貴方を脅していたみたいね』

「…」

『貴方と東都銀行との癒着の証拠でも握られていたのかしら。
それとも、…五十嵐との金の繋がり？』

「…」

『どちらにせよ、貴方にとってはかなり目障りな人物だったはずよね。
…で、始末した、ってところかしら。貴方の秘書が。』

「…」

『貴方の指示か、…それとも五十嵐の指示で。
実行したのは貴方の秘書。…でも、五十嵐の秘書も共犯よね。
…随分と、仲の良い関係なのね。一緒に人殺 しを実行する関係なんて、ただのお友達って訳でも無いわよね』

「…」


表情を変えず、デスクを見つめたまま口を閉ざす東堂に、
Aはただ話し続けた。


『…貴方、もしかして、五十嵐からも脅されていたんじゃない？』

「…」


少しだけ、ほんの少しだけ、東堂の表情が変わったのをAは見逃さなかった。


『…五十嵐との金銭の授受は、おそらく東都銀行との癒着について、五十嵐に何か握られたことがきっかけかしら。
そして、五十嵐にもいくらか金銭を送っていた。
口止め料と、…何らかの形で、東都銀行からの融資を、その癒着関係が明るみに出ないように圧力をかけて貰うために。
…その金は、彼の政治資金ってところね。
その見返りに、貴方は銀行から不正に融資を受け続けることが出来る。
まぁ、一応は、WINWINの関係って訳よね。』

「…」

『でも、その関係が少しだけ崩れた。
…２年前から。その頃から彼への送金額がずいぶん上がっていたようだけど。
別の弱みでも握られたか…、あるいは急に相手が態度を変えたか。』

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