SNOW DROP II (7)【名探偵コナン/警察学校組】

面倒くさい男_7 ページ38

『…さっき話した通りよ。
スノードロップに似てるだなんて、可笑しなことを言って来た…”同期”の、話。』

「…へぇ」

『勝手で、回りくどくて、何考えてるのか分からなくて』

「…」

『でも、本当は考えすぎて苦しんでて、…多分誰よりも傷ついてて、面倒くさい同期。』

「…面倒くさい同期、ですか。」

『随分前の話よ。だからもう…今は、良く分からないけど』

「でも、…随分大事そうに話すんですね」

『…』


どこか挑発的に、しかし優しいトーンで問われ、
Aは口を閉ざした。


「…その彼。大事な、同期だった…のかなと。」

『やっぱり貴方、…面倒くさい』

「彼と同じ面倒くさい人間なら、
…僕も貴方の大事な人になれるかも、と思うんですけどね？」

『…は？』


ニコリと笑う安室に、
心底不快そうな顔を向けるA。


『その笑顔…、悪いけどとっても不快だわ』

「…そうですか」

『それと、そういう軽い男、…本当に苦手』

「…でも、貴方の側にいるのは、問題ないと思いますけどね。
ほら。もうコナンくんには勘違いされているみたいなので…」


何やら、普段の”安室透”の調子に戻ってきたのか。
降谷の本能的な何かか。
掴んだ手を軽く引っ張るようにして、
あからさまな口説き文句を垂れる安室。

安室透が、二課の春宮Aと近しい間柄になっても、
それほど問題にはならないだろうという、からかい文句という訳か。
安室は、単にからかう目的だけではないのかもしれないが。


その言葉に、
Aは面倒臭そうに掴まれた手を外そうとした。


『何のことか良く分からないし、何が問題ないのかサッパリ分からない。
…それに私、貴方に、”同期”としか話してないわよ』

「…え」

『”その彼”とか、”彼と同じ”って、誰のこと言ってるのよ』

「…」

『何だか貴方、…別の同期にちょっと似てる…』

「え？」

『…何でもないわ』


ふぅ、と、ため息とともに、Aから手首を外す安室。
別の同期、と言っていた人物。
心当たりがある。
コミュニケーション能力が高く、人の懐に、特に女性の懐に入るのが得意だったその人物を思い出し、
複雑そうな表情を浮かべた。

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