面倒くさい男_4 ページ35
『何がおかしいのよ』
「…いや。」
『…』
柔らかく表情を緩めた降谷は、
しばらく口を閉ざした後、
「僕のこと、心配して待っていてくれたのは嬉しいですけど、
…Aさんも、あまり危ないことはしないで下さいね?」
と、告げた。
『…!』
口調を変えた彼に急に名前を呼ばれ、
平然を装っているも体温が上昇したのを感じたA。
しかしすぐに不満そうな顔に変わり、
”安室”を睨むように見つめた。
「それと、…PCは開いたままだと危ないですよ?
誰に情報を盗まれるか分かりませんから」
その言葉に、
Aは、目の前のローテーブルに開いたままのノートPCの方へ視線を向けた。
彼が目覚めるのを待っている間、操作をしていたプライベートPC。
そのディスプレイは、既にスクリーンセーバーに変わっていた。
「…変えてないんだな」
『…は?』
「スノードロップ」
『…』
警察学校の食堂で交わした言葉が、
Aの脳裏に蘇った。
“「ん?春宮、その花、何だ?」
『待雪草。…別名スノードロップ。』
「へぇ。雪を待つのか。何か、春宮らしいな。」”
卒業式の日、降谷に言われた言葉が、
脳裏に浮かんだ。
“「…それは…。
…似てると思ったんだ。あの写真の、スノードロップが。
春宮に。」
『…似てる?』
「小さくても、しっかりと咲いてる。その感じが。
雪の中で咲く、白くてどこか凛とした感じが。
それを、春宮が勘違いしただけだ」”
(あ…)
上手く思い出せなかった降谷から言われた言葉が、
ふと、思い返され、Aは少し困ったように、少しだけ恥ずかしそうに口を閉ざした。
「どうかしたか?」
『…別に。』
「…」
『…この花は…、私にとっては大事な花なの。
それに気に入ってる写真だから…、そのままにしてるだけよ。』
「…やっぱり、Aさんに似てる気がしますね」
また急に安室の口調に戻った降谷に、
ギロリと視線を向けるA。
そして、”やっぱり似てる”、などと、
あのときのことを覚えている、と言われているようなセリフに、
Aはやはり困った顔で、安室を見つめた。
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white12(プロフ) - 開設しましたらお知らせしますね!ぜひ、高さんが描いて下さった夢主ちゃんを見てみたいです! (2020年2月16日 12時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - 高さん» コメントありがとうございます。な...なんと、そんな嬉しいことがあって良いのでしょうか...。本作を読んで頂けているだけでも嬉しいのに、イラストを描いて下さったなんて本当に嬉しいです!実はtwitterはやっていないのですが、この機に...とも考えておりまして。 (2020年2月16日 12時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
高(プロフ) - 夢主さんのイラスト勝手に書かせていただきました笑作者様見ていただきたいんですけどツイッターはやってないですか? (2020年2月16日 12時) (レス) id: 9e0ac4ae00 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - fujizakuraさん» 本作をお読みいただきありがとうございます。公開が遅くなり申し訳ありません。(8)は既に公開済みですので、引き続きお楽しみ頂けますと幸いです。 (2020年1月31日 14時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
fujizakura(プロフ) - 【8】がパスワードがかかっていて見れません (2020年1月30日 17時) (レス) id: 21ccb35895 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2020年1月20日 8時