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桜_5 ページ10

『…だって、お巡りさんが…、
機動隊の人が、あんな風に子どもたちとよく遊んでるなんて、
何となく、誰かの父親なのかなって思ってたから』

「…悪いけど、そんなんじゃねぇよ。
誰の父親でもねぇし、そもそも結婚なんてしてねぇって。」

『へぇ…。』

「あの子たちはまぁ…、知り合いっていうか。
時々保護者代わりしてるっていうか…。」


実際は、高木刑事を通して松田が知り合った子どもたちで、
松田と歩いている時に偶然この公園近くで会ってから、
懐かれるようになったのだ。

松田はあぁいう風貌と性格なため、
子どもの相手をするなんて面倒なことを引き受ける奴ではなく、
萩原が時々面倒を見ているというわけで。


『そうなの。別に、いいけど』

「…っていうか、俺の子どもとか初めて言われたな…。
月島、けっこう思い込み激しいとこあんだな」

『…何となくそう思っただけって言ってるでしょ。
それに、何で呼び捨てなのよ』


先ほどもそう言われた気がするのだが、
今更、というようにAがジロリと抗議の視線を向けた。


「いや、まぁ、何となくっていうか」

『…』


ため息を零し、もう一度スケッチブックに向かい合うAに、
萩原は目を細め、口角を小さくあげた。


「…あの北川って男に適当に笑って抵抗しない月島より、
俺を蹴り飛ばそうとしたときみてぇに、
…今みてぇに、言いたいこと言ってる月島の方が、
良い…と、思う、けどな。」


軽いナンパ文句など、言い慣れているはずの萩原が、
どこか気恥ずかしそうに零した言葉に、Aは困ったように、複雑そうなため息をついた。


『…』

「…まぁ、でも、あんまり強がってっと、
拗れることも、あるかもしれねぇけどな」


軽口のつもりの、少し挑発的な萩原のセリフに、
スケッチブックに向かい合ったまま、手を止め、くしゃりと顔を歪めるA。


“そうやってくだらないこと言ってる暇があれば、
早く子どもたちの所に行けば?”

そうやって言い返すような場面なのに。
こんな軽い男の言葉なんて、簡単にかわせるはずなのに。

言葉が、出なかった。

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設定タグ:名探偵コナン , 萩原研二 , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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white12(プロフ) - なーこさん» またまた嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。どうにも回りくどく書いてしまう癖があるのですが、そう言って頂けて本当に嬉しいです。由紀さんの登場はRain執筆中からの計画でした (笑) 次回作は未定ですが、今後もご愛読頂けましたら幸いです。 (2019年12月20日 16時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*会社の為、隠忍自重する夢主が時折見せる弱さや脆さに萩原さんの言葉が染みて溢れ出すのを繊細に描いていたのが読んでいてじわっときました...。そして由紀ちゃんの登場は嬉しすぎるサプライズです!(笑)また次の作品も楽しみにしてます*。 (2019年12月20日 0時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2019年12月12日 17時

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