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鼓動_8 ページ48

そして、路地に停めた彼の車の助手席に乗せられたAは、
静かに動き出した車の中で、流れていく周囲のライトを見つめながら、
上がったままの心拍数に眉をひそめていた。


「ん?」

『…』


赤信号で停車した車内で、
悩ましげな顔で口を閉ざしているAにちらりと視線を向ける萩原。


「どうした?…顔、赤いぞ?」

『…え…』


動揺していることに、
心拍数が上がっていることに気づかれたのかと、
運転席の萩原の方へ反射的に顔を向けるA。

そして――


『…っ…』


静かに重なった唇に、さらに心拍数を上げた。


「…やっぱり、少し、赤い…か?
いや、…分かんねぇな」

『…』


それもそうだ。
周囲は、もうすっかり暗くなった杯戸町の道。
暗い車内で、顔が赤いことなど分かるはずもないのだ。
萩原が分かるのは、Aが悩ましげにあからさまに動揺しているということだけ。

自身の顔が紅潮しているだろうことが分かるのは、
それを指摘されたA本人だけ、だ。



「ん?…何、期待してんの?」

『…なっ…そ、そんなんじゃ――』



挑発的な笑みと共に、
すっとフロントガラスに視線を向け静かにアクセルを踏み込む萩原。
少し前の、気まずそうな、不満そうな顔はどこにもなく。


今度こそ、”確証”を得たことで、
もう、萩原の葛藤はすっかり払拭されているようだ。

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設定タグ:名探偵コナン , 萩原研二 , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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white12(プロフ) - なーこさん» またまた嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。どうにも回りくどく書いてしまう癖があるのですが、そう言って頂けて本当に嬉しいです。由紀さんの登場はRain執筆中からの計画でした (笑) 次回作は未定ですが、今後もご愛読頂けましたら幸いです。 (2019年12月20日 16時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*会社の為、隠忍自重する夢主が時折見せる弱さや脆さに萩原さんの言葉が染みて溢れ出すのを繊細に描いていたのが読んでいてじわっときました...。そして由紀ちゃんの登場は嬉しすぎるサプライズです!(笑)また次の作品も楽しみにしてます*。 (2019年12月20日 0時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2019年12月12日 17時

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