Liar ページ32
それから3週間が経った頃。
もうすっかり桜は散ってしまい、
葉桜が生い茂っている米花公園で、
子どもたちとサッカーボールを蹴っているAの姿があった。
今日は土曜日だ。
小学校は休みなのだろうが、フリーのAにとってはそんな甘いものではない。
とはいえ、公園前でバッタリ出くわした歩美、光彦、元太の3人に、
“今度遊ぶって約束したのに…”と拗ねるように見つめられては断るわけにもいかず、
こうして一緒に遊んでいるのだ。
その中には、
いや、少し離れた場所には、木の幹にもたれ掛かる萩原の姿もあった。
今日は非番のようで。
彼の足元には、紺色のバッグが見える。
女物…、Aのバッグだ。
「おーい!萩原の兄ちゃんも一緒にやろうぜ!」
「そうですよ!そんなところにいないで――――」
子どもたちに声をかけられ、
やれやれ、といった様子で幹から背を離す萩原は、
入れ替わるようにして自身の方へ歩いてくるAに、困ったように笑いかけた。
「…悪いな。仕事…、あったんじゃないのか?」
『また今度、って約束したのは私だから。
…何で貴方が謝るのよ』
もうすっかり気温も高く、
額に滲む汗に、カバンから取り出したタオルを当てるA。
「…やっぱり、結構上手いな。サッカー」
『え?』
「いや、上手そうだなとは思ってたんだけど」
『…は?』
口角を上げた萩原のからかうようなセリフに、
訝しげにその意図を問うA。
123人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
white12(プロフ) - なーこさん» またまた嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。どうにも回りくどく書いてしまう癖があるのですが、そう言って頂けて本当に嬉しいです。由紀さんの登場はRain執筆中からの計画でした (笑) 次回作は未定ですが、今後もご愛読頂けましたら幸いです。 (2019年12月20日 16時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*会社の為、隠忍自重する夢主が時折見せる弱さや脆さに萩原さんの言葉が染みて溢れ出すのを繊細に描いていたのが読んでいてじわっときました...。そして由紀ちゃんの登場は嬉しすぎるサプライズです!(笑)また次の作品も楽しみにしてます*。 (2019年12月20日 0時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:white12 | 作成日時:2019年12月12日 17時