認めるしかないだろ。_6 ページ19
『…最っ低…』
「でも…、無理なんだよ」
『何がよ…』
「…どうやって、優しくすれば良いか分かんねぇんだよ。
月島相手だと、調子狂うっつーか...
優しくしようとすれば、強がって悔しそうな顔する月島見てると、
それ以上傷つけたくねぇって思っちまうんだよ」
『…私、そんな顔したつもりないわよ。
それに、さっきも言ったけど、貴方の言葉なんかで傷つくほど、
…弱く、ない…』
見透かされたようなその言葉に反論するAだが、その声はだんだんか細いものになっていった。
「別に、月島が弱い奴だなんて言ってねぇだろ…。
ただ、俺が、お前に傷ついて欲しくないってだけだ」
そして、萩原は左手を伸ばし、
カットソーで隠れたAの右腕にそっと触れた。
『…』
「送っていけば良かったって後悔してた。」
『…下心だったって、自分でさっき言ったんでしょ。
それに――』
「気にするなって、また、そう言うんだろ?」
『…前にも言ったでしょ』
右腕に触れてきた萩原から距離を置くA。
だが、その場を去ろうとはせず、
伏せ目がちに静かに言葉を零している。
「分かってる。
でも、強がって避けるようなこと言ってきたかと思えば、
そうやって、フォローするような優しい言葉をかけてきたり…」
『優しくなんか…ないわよ。
ただ、貴方のせいじゃないって、事実を言っただけでしょ。』
「あの子たちと話してる優しそうな笑顔を見ると、…何か、不覚にも動揺するっていうか…、
安心するっていうか、嬉しくなるっていうか…」
『…何の話よ』
やはり意味が分からないような顔で、
Aは今度こそその場を去ろうとしたのだが、
その手首をまたも掴まれ、怪訝な顔で萩原を見据えた。
先ほど耐えていた涙はすっかり乾き、
しかし、目尻はほんのり赤く滲んでいる。
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white12(プロフ) - なーこさん» またまた嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。どうにも回りくどく書いてしまう癖があるのですが、そう言って頂けて本当に嬉しいです。由紀さんの登場はRain執筆中からの計画でした (笑) 次回作は未定ですが、今後もご愛読頂けましたら幸いです。 (2019年12月20日 16時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*会社の為、隠忍自重する夢主が時折見せる弱さや脆さに萩原さんの言葉が染みて溢れ出すのを繊細に描いていたのが読んでいてじわっときました...。そして由紀ちゃんの登場は嬉しすぎるサプライズです!(笑)また次の作品も楽しみにしてます*。 (2019年12月20日 0時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2019年12月12日 17時