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認めるしかないだろ。_5 ページ18

「…先に、謝っとく」

『…え…?』


しかし、その言葉の意図が掴めず、
反射的に顔を上げ、震える声で聞き返したA。

そして――、


『…っ…』


何が起こったのか一瞬理解できず動揺するAは、
反射的か、あるいは不快感からか、
その状況から逃れようと、身をよじらせた。



背中に感じる温度と、圧迫感。
ふわりと香る、タバコの匂い。



突如、
萩原に抱きしめられる格好になってしまったからだ。


『…ちょ、ちょっと…離し、て..』

「…悪い。だから、先に謝っただろ」

『そ、そういうことじゃなくて…』


背の高い萩原の胸に押し付けられるような格好のAは、
苛立ちからか、あるいは、動揺からか、
揺れていた瞳はすっと静まり、
同時に少しずつ心拍数が上がるのを感じた。
ただ、強く抱きしめられ、彼の手が回された自身の背が、熱い…気がした。

「放っておいてって言われても、
…やっぱり、無理なんだよ」

『…え?』

「あのBarで、苛立ってるみてぇに酒飲んでる月島を何度か見てた。
なのに、あの店で、…確かその前にもどこかの居酒屋で、
あの男に体触られても、笑いながらやんわり拒んでる姿を見て、
まぁ…、美人だったし、とりあえず助けてみれば、
実際は口は悪いし、俺を蹴り飛ばそうとするようなじゃじゃ馬だし。」

『…は…?』


軽いナンパ男のような言葉を交えた萩原のセリフに、
Aは不快そうな表情を浮かべるも、
彼が言葉を零すたびに肩にかかる吐息に、不覚にもさらに心拍数が上がるのを感じた。


何とか目の前の男の腕から逃れようとするものの、
強く抱きしめられた状況は変わらない。


「…何度か送ってったのは、…最初は確かに下心もあった。
正直、弱みにつけ込もうとしてたのかもしれねぇ。」

『…最低…』

「あの子たちに言われたよ。
女の人には優しくしなきゃいけねぇって」

『…』

「そんなの、女に優しくするなんて、当たり前だろ。
…今みたいに泣いてる女がいれば、
優しく抱きしめて、そっとキスでもすりゃ、大抵大人しくなんだろ」

『…っ…』


萩原の、これぞ色男というような言葉に、
Aは心底不快そうに顔を歪め、目の前の身体を思い切り突き飛ばした。

強く抱きしめられていたはずの自身の身体は、
意外にもあっけなく萩原の腕から離れ、
少し距離の空いた目の前の男の顔を、キッと睨みつけるA。

その頬は少し紅潮しているようだが、あからさまに不快そうな表情で。

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設定タグ:名探偵コナン , 萩原研二 , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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white12(プロフ) - なーこさん» またまた嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。どうにも回りくどく書いてしまう癖があるのですが、そう言って頂けて本当に嬉しいです。由紀さんの登場はRain執筆中からの計画でした (笑) 次回作は未定ですが、今後もご愛読頂けましたら幸いです。 (2019年12月20日 16時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*会社の為、隠忍自重する夢主が時折見せる弱さや脆さに萩原さんの言葉が染みて溢れ出すのを繊細に描いていたのが読んでいてじわっときました...。そして由紀ちゃんの登場は嬉しすぎるサプライズです!(笑)また次の作品も楽しみにしてます*。 (2019年12月20日 0時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2019年12月12日 17時

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