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認めるしかないだろ。_3 ページ16

『…良く分からないけど、気にしなくて良いから。』

「え?」

『貴方の言葉に傷つくような、弱い女じゃないの。』

「…」

『…貴方の気のせいだと思うわよ。』

乱れ始めた感情に気づかないフリをし、
平然とした表情で萩原の謝罪を軽くかわすように言葉を吐くAは、
さらりと、笑った。


これ以上近づかないで、と言わんばかりに。


そして、くるりと萩原に背を向け、今度こそ歩き出そうとしたのだが、


『…っ』


手首を掴まれ、必然的に立ち止まった。


『…何?』

「もしかして…何かあったのか?」

『は…?』

「さっき、あの男見かけたから。
Barで月島に何度も迫ってた、あの、北川って男。」


じっと自身を見つめ、真剣な表情で問いかけてくる萩原に、
彼のその言葉に、表情を曇らせるA。


『別に、何もないわよ』

「…」


すっと視線を外すと、
掴まれた手を強引に外し、
Aは彼に背を向けて歩き出した。



(…ホント、なんなのよ…)


相も変わらず、ズカズカと見透かすように踏み込んでくる萩原に、
その苛立ちからか、思考がかき乱される。

そして、いつぞやのように、
隣に、いや、少し後ろに感じるその気配を、その主をギロリと睨みつけた。



これもいつぞやと同じだ。
付いてこないで、というように、
視線を外し、萩原のことなど気にせず歩くA。


ズカズカと踏み込んできて、
挙句、こうして口を閉ざしたまま、静かに付いてくる男。

このシチュエーションは、もう3度目になるだろうか。



そのまま、無視をするように、
口を閉ざしていれば良かったのだ。
それなのに――。


弱みにつけこまれようとされているのだろうか。
それとも、ただ、心配されているのか。

Aは否定したとはいえ、
萩原が口にした自己嫌悪を、ただ、消し去りたいだけなのか。


そんなことを考えながら、自身の黒々しい感情に、
そして、
静かに隣にいるこの男に、苛立ちや悔しさ、様々な感情が入り乱れ、
Aは大きく顔を歪めた。

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設定タグ:名探偵コナン , 萩原研二 , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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white12(プロフ) - なーこさん» またまた嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。どうにも回りくどく書いてしまう癖があるのですが、そう言って頂けて本当に嬉しいです。由紀さんの登場はRain執筆中からの計画でした (笑) 次回作は未定ですが、今後もご愛読頂けましたら幸いです。 (2019年12月20日 16時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*会社の為、隠忍自重する夢主が時折見せる弱さや脆さに萩原さんの言葉が染みて溢れ出すのを繊細に描いていたのが読んでいてじわっときました...。そして由紀ちゃんの登場は嬉しすぎるサプライズです!(笑)また次の作品も楽しみにしてます*。 (2019年12月20日 0時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2019年12月12日 17時

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