Liar 【名探偵コナン】 (ページ40)

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内緒話ページ40

5日後。

杯戸ショッピングモールの雑貨店に立ち寄った帰りに
少し遅めの昼食を取ろうと、Aが立ち寄ったのは、
少し前に初めて足を運んだCafé Rainだ。

昼食、といっても、この店では”食事”は提供していないのだが。

「いらっしゃいませ！あ…、お好きな席へどうぞ！」

やはり元気な女性店員に迎えられ、
Aは先日と同じ、奥側のテーブル席へ腰を下ろした。

萩原の姿は、無いようだ。

また会うかもしれない、と思ったが、
何やら吹っ切れたAは、特に気にすることもなく、こうして店に足を運んだのだ。

「ご注文はお決まりですか？」

『あ…、じゃあ、ブレンドコーヒーと、プレーンと…この、イチゴのスコーンを頂けますか？』

「はい！少々お待ちください！」

ニコリと笑う女性店員に、”お願いします”、と微笑むA。
何やら瞬きを繰り返しながら興味深そうに見つめて来た気がしたが、
気のせいだろうか。

「お待たせしました！ブレンドコーヒーと…スコーンです！」

『ありがとう』

元気な女性店員の声とともに運ばれてきた注文の品に、
口元を緩めるA。

「あ、あの…」

そして、お盆からコーヒーとスコーンの皿をコトリと並べる女性店員は、
少し緊張したように口を開いた。

「もしかして、Mistさん…、ですか？」

『え？』

「あ…、えっと…この間来られたお客さま…ですよね？」

『…そう、ですけど。』

Aは、少し困った顔を浮かべた。
何故、そのようなことを聞いてくるのか。

“Mist”

というのは、Aが使っているハンドルネームで、
自身の作ったWebページの自己紹介にも使っている名前だ。

ただ、人に話すようなことは一切していない。
敢えて内緒にしている訳ではないが、
勉強と称してデザインを更新する時間も少なくなった今、
そのページ、リンクさせているSNSは、
Aの息抜きの場になっていたのだから。
取引先の人間に知られるようなことになったら、
ましてや北川に知られるようなことになれば、最悪…なのだから。

「…間違ってたらすみません。
ただ、この間、プレーンスコーンとコーヒーを一緒に注文されたの、
お客様だけで…」

そして、
女性店員は、腰をかがめ、コソッと内緒話をするように話しかけてきた。