Liar 【名探偵コナン】 (ページ38)

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面倒な男ページ38

「…それだと、先日お願いした内容が反映されていない気がするのですが。」

『確か、ご依頼の内容では――』

10日後のA社の小会議室。
年が明け、軽く年始の挨拶を済ませた後、
打ち合わせを進めたAは苦笑いを浮かべていた。
貼り付けたような、人当たりの良い笑みは既に消えている。

「でも、ここは商品の内容をもっと詳細に提示するようにして欲しいと、
お願いしたはずですが。」

『…内容と致しましては、御社から頂いた文章を元に、
商品名と併記させて頂いています。
それと、こちらのサブページに――』

「当初お願いしていたのは、そういう構造では無かったはずですが。」

『…でも、確か、2週間前に頂いたメールで――』

言った言わないの話は正直不毛だ。
証拠としてメールを提示したところで、おそらく無意味。
こういう話になってしまえば相手側が折れないことは、
仮にも営業課長のAは良く分かっている。
そして、相手は北川だ。
今度は難癖でもつけようとしているのかと、
Aは心の中で、目の前の、あまりにも面倒な男を蹴っ飛ばす場面を思い浮かべた。

念の為、と、営業の部下を同席させようとしたのだが、
3名ほどいる部下は、主に部長が抱える案件にかかりっきり。
時折、Aの案件に手を貸してはくれるものの、
打ち合わせならAだけで、ということで承諾は得られなかった。
部長の指示なのかもしれないが。

『それでは、この部分をもう少し詳細に提示する点、
また、全体のデザインをもう少し明るく暖色系を増やす点、
そして、ページの構造をよりシンプルに、バナーをわかり易く配置する点、
主に以上の3点を修正する、ということで宜しいでしょうか。』

「…そうですね。そのようにお願いします。」

埒があかない、と、それ以上は反論せず、
北川の言葉をまとめるように、念入りに確認するA。

『では、以上の内容をメールで送信させて頂きますので。
…少しお時間宜しいですか？』

「…え？」

さらりと微笑んで、目の前のノートPCをカタカタと操作し始めるA。