Liar 【名探偵コナン】 (ページ29)

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困ります。_2 ページ29

そして、チラリと再び見つめるのは、
デスクに置いたスマホのディスプレイだ。
仕事に差し支えるようなことはしたくない。
余計なことも考えたくない。

それでも、今のままで良い訳がない。
相手の行動も、エスカレートして来ているように感じる状況で、
やんわりと適当に交わしているだけではいけないことは、分かっていた。
何より、笑顔を貼り付けて相手の機嫌を損ねないように振舞っている自分自身に、
もう、我慢が出来そうになかった。

それに気づいたのは、
不本意にも、
あの夜に萩原という男に投げかけられた言葉が、きっかけだった。

ブーッ

短い振動音と同時に、
パッと光るディスプレイ。

そこには、”北川さん”からのショートメールを示す通知が表示されていた。

(…今夜、20時。
東都タワー前の、あのイタリアンレストラン…か。)

場所と時間を指定して来たのは相手だが、
誘ったのはAの方だ。

“何度もメールを頂きありがとうございます。
先日お話していた案件について、
それと、先日の夜にお聞きした件について、
宜しければ今夜にでもお話できればと思うのですが、ご都合いかがですか？”

1時間ほど前に北川に送ったショートメールだ。
Aにとっては、案件の詳細について、
直接話すことなど特には無かったのだが。

先日の夜に北川が口にした、
ただの誘い文句、あるいは脅し文句のような、
新しい大事な取引案件、についてもだ。