スケッチブックとサッカーボール_2 ページ14
「…お姉さんすみません。強く蹴りすぎてしまって…大丈夫ですか?」
今度は、
それを追いかけてきた男の子が申し訳なさそうに口を開いた。
『うん。平気よ。サッカー好きなの?』
「はい!今、友達とみんなで遊んでいるところで…」
何やらまた違う大人びた口調の男の子に、
(最近は、こういう大人びたような話し方が流行ってるのかしら)
などと考えるA。
「わぁ!おねぇさん、すっごく絵上手!」
ふと、後ろから黄色い声が聞こえ、
振り向くと、芝生に置いたままのスケッチブックを凝視している女の子がいた。
「あ、歩美ちゃん!触っちゃダメですよ!」
「ホントだ!姉ちゃんの絵、すっげぇ!」
“ありがとう”と、ニコリと笑うAだったが、
(姉ちゃんって…、年上の人に呼ばれてるみたいね)
と、苦笑した。
色鉛筆で描いてるの?
どうやったらこんな風に上手に描けますか?
などと、ワイワイ口を開き始めた3人に笑顔を向けてるAは、
大人は一緒じゃ無いのかと、
ふと、男の子たちが走ってきた方向に視線を向けた。
そして、一瞬固まった。
どこか見覚えのある人物がこちらに歩いてきていたからだ。
1人の男の子と一緒に。
「あ!コナンくんと萩原さん!すみません。ボールは――」
「おめぇら、何やってんだよ!もしかして、ボール、そのお姉さんに当たったんじゃ…」
「違ぇよ、コナン!ボールはこの姉ちゃんが取ってくれて、ホラ、ここに――」
「そうそう!戻ろうと思ったんだけど、お姉さんの絵がすっごく上手で――」
何やら、また子どもが増えて賑やかになるAの周り。
当のAは口を開かず、
目の前の男に一瞬視線を合わせると、ふいっと子ども達の方へ視線を戻した。
(…萩原、さんって呼ばれてたわね。
この子達の誰かの父親、かしら)
「へぇ。確かに、上手いもんだな」
『…え…』
「色鉛筆でこんなに綺麗に描けるんだな」
芝生に置いたスケッチブックを、
“歩美ちゃん”と呼ばれていた女の子が触れようとして制止されていたそれを、
さらりと手に取り、まじまじと見ている萩原。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年11月29日 22時