Liar 【名探偵コナン】 (ページ13)

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スケッチブックとサッカーボールページ13

『ふぅ…』

冷たい風に少しかじかみそうになる手に、息を吐きかけ、
色鉛筆を握るA。
腰掛けている芝生も、シートを敷いてるとはいえ、
やっぱり冷たい。

米花公園は、毎年この時期、
イチョウが綺麗に色づき、鮮やかな空間が広がる。

休日である土曜日に、
息抜きを兼ねて、スケッチにきているのだ。

絵を描くのが昔から好きで、
何かをデザインするのにも関心を持ち、
Webデザインを主業としたクリエイターを目指した。
今は、それが認められた上での営業課長となり、
デザインの方に手を付ける時間は格段に減ったものの、
時折こうして、文字通りのストレス発散に、スケッチをしているのである。

「あぁ…、すみません！」

「もう、どこ蹴ってんだよ！光彦！」

そんな声が聞こえふと顔を上げると、
こちらへ駆けてくる男の子の姿が見えた。
そしてその頭上、Aの方へ放物線を描いて落ちてこようとするサッカーボール。

その後ろには、別の男の子と女の子の姿が見えた。

(…さっき向こうで遊んでた子かな。)

腰を上げ、
あわや色鉛筆ケースの上にダイブしてきそうなボールをすんでのところでキャッチすると、
息を切らして走ってきた男の子に手渡すA。

『はい。』

「はぁ…はぁ...。姉ちゃん、ありがとな！」

何やら体格のいい男の子の、
子どもに似つかわしく無い口調に、
Aは可笑しそうにニコリと笑った。