立ち入り禁止_5 ページ12
そして夕方になり――
今日何度目かのスマホの振動に、
ディスプレイを確認すると、
顔をしかめるA。
表示されていたのは”北川さん”の名前。
すぐに止んだ振動音から、どうやらショートメールのようだ。
“昨夜はありがとうございました。
ご依頼している件、もう少し詳しくお話出来たらと思っています。
良かったら、昨夜の店か他に美味しいお店で食事でもしながら。”
周囲に見られないように、
はぁ…とため息をため息をつくAは、
受信フォルダに溜まった北川からのメールに、さらに眉をひそめた。
大事な取引先とはいえ、
相手からのセクハラまがいの行為、
その対応を部長に相談したことはこれまで度々あったが、
“大事な取引先だから”
“もういい大人なのだから、多少触られるくらいただの挨拶みたいなものだろう”
毎回そんな返答しか貰えず、時間とともに文字通り”大人になった”Aは、
もう、あまり騒ぎ立てることで逆に色々とやりにくくなるようなことは避けるようになっていた。
“こちらこそありがとうございます。
せっかくのお誘いですが、
最近は抱えている案件が多く、打ち合わせはまた改めてお願いできますでしょうか。
また、こちらからご連絡しますね。”
適当に断りの文句を送ると、Aは何事も無かったように、
再び仕事に戻ったのだった。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年11月29日 22時