47.アウター ページ47
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「書き終わるまで待っててあげるから話してよ」
樹「え、まじ?待っててくれんの?」
「待たせるつもりで間延びさせてたんでしょ」
樹「てへぺろ〜」
またしても可愛こぶる樹に大きなため息をついて、仕方なくアウターを脱いだ。
反省文を書かされるような生徒のためにも暖房をつけてくれるなんて、なんて良心的な学校なんだろう。
樹「まぁー、簡単に言うとさ、俺が北斗に余計なこと言っちゃったんだよ」
「なんて言ったの」
樹「A今日傘持ってないから、ヒーロー的な感じで登場しちゃえよ。って⋯」
「北斗がそれを真に受けて来たっていうの?」
良い意味でも悪い意味でも頑固な北斗が、そんな軽薄な樹の提案を簡単に飲むとは思えない。
ましてや、私が関係していることなのに。
樹「お前北斗のことなんだと思ってんだよ。クールぶってっけど、あいつだってふっつーの男子高校生だぞ」
「何が言いたいのよ」
樹「恋にうつつを抜かすこともあるってこと」
「⋯恋?⋯え。なにそれどういうこと」
さっきまでは器用に手と口を動かしていたくせに、急に黙り込んでスラスラと反省文を書き進める樹。
樹っていつもこう。
都合の悪いことがあるとすーぐ口を結んで何も喋るまいと黙り込む。
「ね、樹?なんで無視すんの」
ほっぺをつんつんしてみても、さっきみたいに原稿用紙ではたいてみても、まるで反応を示さない。
⋯あーもうむかついた。そっちがその気なら。
「⋯じゃあね」
樹「え、は?何してんの?」
「何って、帰るから上着きてるだけだけど」
樹「終わるまで待つっつったじゃん」
「話す気がないなら別にいる意味ないでしょ」
カバンを持とうとしたら、向かいから必死に身を乗り出して止めてくる卑怯者。
いくらもやしとはいえ、男子だからやっぱり私よりは力が強くて。
樹「俺のこと置いてくの?」
⋯そんな上目遣いをされたら、私の心だって多少は揺さぶられるんですけど。
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くみ(プロフ) - 更新ありがとう御座います!拗らせ北斗くん大好きです!続き楽しみにお待ちしてます! (11月21日 13時) (レス) id: ac351487ee (このIDを非表示/違反報告)
まゆみん(プロフ) - 続き読みたいです。 (7月29日 16時) (レス) id: c9c9d458e3 (このIDを非表示/違反報告)
まゆみん(プロフ) - 早く結ばれてほしい、別れた理由知りたいです。 (2023年1月8日 16時) (レス) @page35 id: 541c7ab773 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:姫野 | 作成日時:2022年11月26日 22時