36.白い吐息 ページ36
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目「⋯ね、あのさ」
「ん?」
肩を並べて、駅までの道のりを歩く。
降り始めた雪は、ただゆっくり、ふわふわと舞い降りてくるだけだった。
目「北斗くんと仲良いんだね、Aちゃんって」
「え、」
今の「え、」には、2つの意味が込められていたんだけど、
ひとつめは、「なんでいきなりそんなこと聞くの?」という意味の「え、」。
ふたつめは、急な名前呼びに対する「え、」。
「去年、同じクラスだったから」
目「しょっぴーたちに聞いてたけど、想像以上だった、笑」
「目黒くん⋯?」
目「⋯蓮」
「、え?」
目「蓮って呼んで」
訴えかけるような眼差しが、突き刺さる。
蓮、って呼んだら何かが変わるのだろうか。
「⋯蓮、くん」
目「ん?」
「呼んでって言われたから⋯、呼んでみました」
目「Aちゃん」
蓮くんの指先が、私の髪の毛についた雪を溶かした。
なんかわかんないけど、ドキドキして、胸が苦しくなった。
私は北斗が好きなのに。
「Aさんに戻して」
目「名前で呼ばれるの、嫌だった?」
「よくわかんないけど⋯ドキドキするからしんどい」
目「もっとドキドキしてほしい」
⋯何を正直に言ってんだ、私は。それに、蓮くんも。
そんなの、もう好きって言ってるようなもんだよ。でも、傍から見れば私も同じ?
目「俺は、ずっとAちゃんにドキドキしてる」
白い吐息が、舞い降りる雪に逆らって空へと上って行った。
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くみ(プロフ) - 更新ありがとう御座います!拗らせ北斗くん大好きです!続き楽しみにお待ちしてます! (11月21日 13時) (レス) id: ac351487ee (このIDを非表示/違反報告)
まゆみん(プロフ) - 続き読みたいです。 (7月29日 16時) (レス) id: c9c9d458e3 (このIDを非表示/違反報告)
まゆみん(プロフ) - 早く結ばれてほしい、別れた理由知りたいです。 (2023年1月8日 16時) (レス) @page35 id: 541c7ab773 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:姫野 | 作成日時:2022年11月26日 22時