32.エアコン ページ32
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「…あ」
渡「っしゃあ!めめの勝ち!」
樹「完全に敗因逆走だわ…」
京「いや、それだけじゃないっしょ」
…そう。私はこの準決勝の舞台であろうことか逆走をかましてしまった。
急いで立て直したものの、アイテムをぶつけられ、みるみるうちに順位が落ちて結果は散々だった。
それもこれも、全部こいつのせい、なんだけど。
北「ドンマイ」
「…気が散った」
小声で励ましてきた北斗に私も小声でそう返した。
皆の視線が気になったのか、私と目黒くんの勝敗がついた途端、北斗は私の髪の毛からさっと手を引いた。
気にするんだったら、初めからあんなことしないでよ。
深「よーし、きたきた、決勝だ」
樹「俺ジョイコンでいいよ」
目「うわ、めっちゃ余裕じゃん」
渡「大我、誰応援する?俺は樹ね」
京「じゃあ俺目黒」
深「おおいっ!誰か俺の応援しろよっ!」
皆が盛り上がってる中、やっぱり私と北斗だけはどこか空気が違っていて。
髪の毛先に神経なんてないはずなのに、北斗に触れられたところに神経が全集中しているような錯覚を起こしている。
エアコンの温風にさらっと連れ去られた、髪の毛が。
当の本人は、いつものように何食わぬ顔でこたつに足を伸ばしているのに。
北「好きじゃない奴に告られたらどうする?」
「え、?」
北「断る?」
「いやあの…いきなり?」
いきなりそんなことを聞いてきた北斗の心理がわからなかった。
私のことを私以上に知っているのは北斗じゃん。そのことだって痛いほどわかっているくせに。
急に持ち掛けられた恋愛話に、私は少なからず惑わされているんだ。
北「それとも、試しに付き合ってみるタイプ?」
「好きでもない人と、付き合えないよ、…わかってるくせに」
ぼそりと呟いた言葉は、北斗に届いたのかわからない。
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くみ(プロフ) - 更新ありがとう御座います!拗らせ北斗くん大好きです!続き楽しみにお待ちしてます! (11月21日 13時) (レス) id: ac351487ee (このIDを非表示/違反報告)
まゆみん(プロフ) - 続き読みたいです。 (7月29日 16時) (レス) id: c9c9d458e3 (このIDを非表示/違反報告)
まゆみん(プロフ) - 早く結ばれてほしい、別れた理由知りたいです。 (2023年1月8日 16時) (レス) @page35 id: 541c7ab773 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:姫野 | 作成日時:2022年11月26日 22時