ホワイトキャロル

14.ダウン ページ14

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樹「俺がいない間にそんな面白そうなこと起きてたのかよ」

「全っ然面白くないんだけど」



THE NORTH FACEのダウンを脱ぎながら、私の話に耳を傾ける樹。



樹「んで？その後目黒と帰ったわけ？」

「まあ、たまたま電車の方向同じだったし」



へぇーなんて目を細めて、明らかに面白がってるよね。

昨日の出来事を樹に報告したのはいいものの、樹はただ面白がるだけで私の苦労なんか分かっちゃくれなかった。



樹「てかそもそもなんで目黒から逃げたんだよ」

「いや、恋愛経験なさすぎてほら⋯本能っていうか」

樹「マジ馬鹿。もったいねー」

「ごもっともです⋯」



これに関しては樹の言ってることが100正しくて、せっかくのチャンス(？)を逃した私が明らかに馬鹿だった。



「⋯それでさ、本題はここからなんだけど」

樹「まだあんの？」

「その、さ」

樹「なんだよ」

「北斗の誤解ときたいんだけど⋯どうしたらいいかな」



私がもごもごとそんな相談をすると、樹は「はぁ、」と項垂れた。

え、その反応何？怖いんだけど。



樹「お前やっぱり、そうなんだな」

「え、そうってなに」

樹「まだ北斗のこと好きなんだろ」

「は？」



何を馬鹿なこと言い出してんの、
私がまだ北斗のこと好き？そんなのありえるわけないじゃん。

別れてからあんなに冷たくなって、避けられて⋯

最近は、偶然が重なって話すことが何回かあったけど。


それでも、去年とは全然違う態度の北斗のことをまだ好きだなんて⋯それだけは、絶対にない。





⋯と、思う。




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