12.銀灰色 ページ12
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「⋯あの、わ、私、学校に忘れ物しちゃった」
目「戻る?」
「うん、でも目黒くんはこのまま帰って、ね!」
目「え、ちょ、」
動揺して、頭がパニックになって、いたたまれなくなった。
どういう反応をしていいのかも分からなかった。
だから、まだたいして進んでいない学校からの距離を走って引き返すことにした。
とにかく樹に言いたい。樹に報告して相談に乗ってもらいたい。
「わっ、!」
あと少しで学校に着くってところで、思いっきり誰かにぶつかってしまった。
咄嗟に謝ろうと顔を上げたら
北「⋯なにしてんの」
ぶつかった相手は、まさかの北斗で。
目黒くんから逃げてきて北斗に会っちゃうなんて、不運というか、なんというか⋯
雨の中逆走していた私を見て、事情を知らないはずの北斗が私に傘を被せてくれた。
去年からずっと使っていた、銀灰色の傘。
「、え」
北「傘、ないんでしょ」
「うん、でも今から学校戻るから、」
北「なんか忘れ物?」
ここで頷いておけばよかったのに、何故か北斗の前では正直になってしまって
「ううん、樹に会いに⋯」
そんな私の言葉を聞いた北斗が、一瞬眉をひそめたのはきっと気のせいだろうけど。
「え、ちょっと、!」
何故か数秒後には北斗に腕を引かれて、駅の方向へと足を進めていた。
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くみ(プロフ) - 更新ありがとう御座います!拗らせ北斗くん大好きです!続き楽しみにお待ちしてます! (11月21日 13時) (レス) id: ac351487ee (このIDを非表示/違反報告)
まゆみん(プロフ) - 続き読みたいです。 (7月29日 16時) (レス) id: c9c9d458e3 (このIDを非表示/違反報告)
まゆみん(プロフ) - 早く結ばれてほしい、別れた理由知りたいです。 (2023年1月8日 16時) (レス) @page35 id: 541c7ab773 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:姫野 | 作成日時:2022年11月26日 22時